(記事のリンク先は一定時間以降、有料化します。また翻訳は英→仏→日ということもあるし、私の度量という限界もあるお仕事であります。あらかじめ御了承ください。)
ライス米国新国務長官がパリ入りした。とはいっても駆け足訪問で、前回エリザベス女王がパリのケーキ屋や花屋によったのとはチョイスが違った。45分間という短い時間ではあるけれども、シオンス・ポ(サイエンス・ポリティック、正式名称はIEP/パリ政治学インスティツーション)での演説と出席者からの質疑に答えるというものだった。アラブ世界インスティツーションでの講演もリストに上がっていたらしいが、結局この場所を選んだのはライス自身だったようだ。シオンス・ポはENAに入る前に政治界エリートが学ぶ仏グランゼコルのひとつ。カリキュラム内容の豊富さと必要とされる勉学量はフランスでも有名。しかし500人の招待者の多くは米国サイドがリストアップ。おまけに、当然セキュリティは米国からの持ち込み式で、コレージュ・ド・フランスやソルボンヌのように、学生も偽学生も気軽に入れるわけではない。
ラジオ(フランス・アンフォ)でこのコンフェロンスに参加した学生がインタビューに答えていた。
『マダム・ライスはチャームを振りまいていた。確かに(米対欧政策の)フォルム/形は変わったけれど、フォン/底、基盤が変わったかどうかはまだ分らない』と答えていた。
ル・モンドによれば、ライス国務長官のここでの発言は
『今は過去の対立を乗り越える時。我々の関係に、そして我々のアリアンス/同盟、に新しい章/チャプターを加える時。』
(ね式: なんかなー。アリアンスって婚約関係のことも差す。フランス=ロマンスの国って認識なのか、努力は認めるが。)
『アメリカは、より良いそしてより安全な世界を築くにあたって、強いヨーロッパというパートナーから得るものは多い。』
『民主主義的変化という目的実現のため、お互いがテーブル上にそれぞれのアイデア・経験・リソースを提出し、議論し、それらを使う最も良いやり方を共に決断して行きましょう。』といったもの。
ル・モンドが書いているように、実際この発言は今までのラムズフェルドの新ヨーロッパ、旧ヨーロッパといった発言、また米本土で繰り広げられたフレンチ・フライド・ポテトボイコット、フランス・ワインボイコットなどの動きとは雲泥の差がある。
ライス女史は『ロシアは許し、ドイツは無視、そしてフランスを罰するのです。』というミヤザキ的に怖い呪いを発した女性である。
今回の新規まき直し的発言が、実際の真実を語っているのかどうかは、ラジオでインタヴューに答えた若き仏エリート君が言うようにウェイト・アンド・シーするしかないのだろう。
さて、もう一方の役者、シラク仏大統領はどう反応しているのか。今月21日にブルッセルでのブッシュ米大統領との夕食会もすでに決まり、長い間(シラクのコールをブッシュは無視したという話はあるが、真偽不明)使われなかったパリ-ワシントンの電話対話も再開されたらしい。もう一度ル・モンドの記事を見てみよう。ライス女史との1時間にわたる懇談の後のエリゼ宮スポークスマン発表によれば、シラク大統領は『すべての国際問題に関して合衆国と建設的対話を持ち続けたい。』『(米国務長官との)会談によって、ブッシュ大統領のブルッセル訪問を視野にいれ、国際関係の大きな主題群の広がりを一望することが出来た。』とある。米仏の対立の原因であるイラクについて、大統領は国務長官に対し『フランスは1月30日に行われた選挙結果から生まれたプロセスをプッシュして行きたい。』『イラク国の安定と統一性を優遇したい。』と語ったそうだ。。。。
国務長官の今回のツアーは1週間でイスラエル・ウエストバンド・ローマ・パリ・ロンドン・ベルリン・ワルシャワ・アンカラ・ブルッセル・リュクセンブルグを回る。
もちろん今日のパリ訪問は米報道陣によって米国で生中継された。大学講堂での学生からの質問に答えて、新国務長官は『アラブ人民はもっとましな将来に値する。世界のこの地域が、自由がもたらす繁栄から取り残されるべきではない。』とも語った。
欧州と米国の新しい関係のね式読みは別エントリーで扱います。
追記 2005-2-14
ライス米国務長官のシオンス・ポでのコンフェロンスについてちょいと面白い話があるんでフォロー。
ル・モンドのおまけ的にジャーナリスト達のブログがあってそこから拾いましたが、質問コーナーで最初に質問した学生、実は現仏外相 Michel Barnier の息子だったとワシントンポストが報じた。ル・モンドがフーズ・フー(仏人はウーズ・ウーと発音するな)で調べたら、質問した学生は確かに Benjamin Barnier だが、外相の息子と名前は同じでも別人だと判明。ポストの記者は学生に名前を聞いたが、だれが父親かは聞かなかったようです。質問学生は外相の息子説でなんと、NYタイムスのモーレーン姐はコラム書いちゃったようである。モンド・ブロガーは《なんか、ブログの世界みたい》と書いてます。
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