ちょっと古いネタですが、たまたま今月14日のル・モンドウェブ版速報欄に AFP の《フランスに続き、Miyazaki の“動く城”は世界を魅了する(旅に)出る》といった内容の記事があった。結局本誌には載らなかったんですが、同記事がクーリエ(インターナショナル)に見つかったので一言。なお、仏各誌の批評はさばた・さめぞう氏が(ほぼ)連載で翻訳紹介しています。
私がパリで映画を見るのは月に2・3回ぐらいか。まあパリに住む人間にしては平均的なんじゃないかな。もちろん暇も学割も、デート消化のノルマもあったりする学生達は週に一回は見てるだろう。ここでは映画入場領が安いんです。週末のフル料金でも8か9ユーロぐらいじゃなかったか(約1000円)。私は暇な時間をみつけ、映画館を選んでほぼ半額の午前中を狙う。そのほかにも、もちろん学割、学生メトロ定期割引、会員割引、高年者割引、失業者割引などいろいろそろってる。年に何回かはパリ映画フェットといったような催しもあり、最近は行かないから良く分らないが、一本目のフル料金をはらうと後何本見てもタダといった、タフな学生にはもってこいのチャンスです。これは仏文化省とかパリ市の援助があって、結局は納税者が払ってるんでしょうが、ここらへんに関しては仏納税者は太っ腹です。
今日の風刺新聞“カナール・アンシェネ”(鎖につながれたアヒル)は、仏現財務相エルベ・ゲマールが、シャネルやヴィトンも並ぶパリ一等地のモンテーニュ通りにある、自分ののアパートの家賃約192万円を経済省に払わせていた事実をすっぱ抜きました。ヤッタネ。リベ(ラシオン)関連記事です。まあ最近引っ越したばかりらしいが、ラジオで聞いたところによると、600m平米内に子供8人、料理人、ベビーシッターとか運転手まで一緒に住まわせていたらしい。今夜のテレビで、経済相は『このアパートの省による支払いは、現政権事務局の承認を受けた正式のものだ。』 はあ、『しかしメディアの動揺をかんがみ、、また家族のプライバシーも考え引越しすることにした。』 と言ったらしい。はあ。ちなみに、該当家賃は経済相の手取り月給とほぼ同額。大体あの通りには、有名ブティック以外はアラブの王子様相手の超高級賃貸しアパートぐらいしかないよ。買い物はできないは、パン屋はないは。それに子供が8人ねえ、カトリックだねえ。完璧な WASK (アングロじゃないが)だね、この大臣。
というわけで、大幅に路線をはずれた訳ですが、つまりなかなか税金に関してはシリアスな国民であるが、こういう映画とかフェスティヴァル系には甘い。(最近美術館特別展の入場料がNY並みの10ユーロになったのは例外的で痛いですが)
で、最近は邦映画、新旧混ぜてよく上映しています。私が見たのは《誰も知らない》《スチームボーイ》《ハウルの動く城》。邦画以外では《コーラテラル》《長い婚約の日》《オーシャンズ12》《CLEAN》ぐらいかな。
ここでやっと本題の《動く城》で、すいません。AFPの記事によると、この映画は、日本では2004年だけで一億五千万ユーロの収入を記録し、1998年にやっと日本映画上映が解禁になった韓国でも260万人の入場者、フランスでは前作《千と千尋》のあげた140万入場者数を超えるだろうと書いています。『現在64才のミヤザキは疲れて、これからは若いアニメ製作者養成にあたりたいと望んでいるが、(ファンの)期待があって不可能だ。第一線を退くチャンスを選ぶのは大変でしょう。』といった風なことをキネ旬のシライ氏は記事の最後に言ってる。
私がこの映画を見たのは1月12日の一般封切りから3週間ほどしてからの日曜日の11時の上映、映画館は80パーセント埋まってたですが、こどもは観客内30パーセント弱。あんがい単独男が多かった(アニメオタか)。私の隣が単独男性年齢推定30才風で、最初はマジ映画通風にしてたが次第にリラックス、炎男カルシファーや、年寄り犬のお子様向けギャグにも良く反応、大笑いしてて私もなにやらうれしかったな。そうでなくちゃ。
こっちのティーンのミヤザキファンたちと話したら、大好きだけど最後がどうもわかんなーい、と言ってた。これはこっちの映画サイトでのコメントにもよくあった。こういう意見って日本でも多いのだろうか。それとも論理構成を徹底的に教え込まれる仏教育制度のタマモノか、、、どうなんでしょうね。
私はあの映画の、はちゃめちゃさがたいそう気に入った。こういった滅茶苦茶は甘美です。ディズニー風の善悪二元論じゃないこんなストーリーがいろんな所で受けると言うのはうれしい。もう、西欧思想に疲れちゃってるのかもしれません、皆さん。
参考 上記カナール・アンシェネ/le canard enchainéは立派なオールド・ペーパーでちゃんとしたウェブ版がない。リンク先は単なる新聞題一面のコピーね。 不思議な仏英バイリンガルのフレンチバッシング専門サイト、MIQUELON.ORG が一部紹介してます。FROM THE DUCK FILES だそうです。 なお上の写真は16日のパリにて。
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