ども、御無沙汰しておりました。
まずはこれ:脱力系デモ
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相変わらず、かなりな時間ネットで情報追いつつ、どうにか生きております。何度もブログ宛の文章を書き始めるも、相手の現在進行中である“事象”の規模と複雑さ、そして抵抗のしようのなさに、なんとも思考は相手の全体像をキャッチできないし、それを言葉で絡みとめる作業もできない。
こんな状況では、twitterでの発声が効果を持つわけだが、アタクシは伝達すべき情報も持たないし、140文字での表現も、アタクシの文章作法スタイルと全然ちがう。
(短歌や俳句形式を使って、核問題や金融・経済・地政学を語ってもいいわけだが、、、無理だな。せいぜいが、週刊現在の記事タイトル形式だろう。)
と、前口上のあと、これからがメモ、
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911
11日の朝ラジオをつけたら、どの局も911テロ特集で、あきれてスイッチを切り、あとは一日ラジオもtvもつけなかった。あれは単なるPTSD(心的外傷後ストレス障害)効果が狙いとしか思えない。WTCが攻撃される衝撃映像は流しても、いったい誰が何故あの攻撃を行ったのか、あの攻撃への報復としてイラクとアフガニスタンで始められた否対照戦争がいったいどうなったか、そして中東始め世界における地政オーダーはどうなったかという根本的問いかけはどこにもない。
崩れ行くツウィンタワーの映像は人々を10年前のdesarroi/混乱・狼狽に立ち返らせる。フラッシュバックさせる。思考は停止してしまう。
それは現在進行しているディザスター、金融・経済・国家・政治・社会危機と原子力危機から私たちを切断してしまう。
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311
(つまり同時に弟が死んでから4ヶ月がたった)
4月ごろから気づかされた危惧が、さらに強烈な形で現実化しつつある。
チェルノビルでの放射線物質放出は24時間に限られていたが、フクシマでは4機のプラントが6ヶ月経った今も放出を続けている。チェルノビルに海はなかったが、フクシマでは海に多くの放射線物質が流出。
空中にしろ、海中にしろ、フクシマではどんな核種がどのぐらい放出されているか分かっていない。それぞれの核種の、空気中・海水中・生体内での動態変化もわかっていない。だいたい問題のブツ/コリオムがどこにあるのかも分かっていない。
おまけに、広大な旧ソ連大陸とは違って、日本には水が潤す大地、山、河岸がある。おまけに現代日本の特色である物量と人の加速された移動性がある。汚染された水・土・車・食物は簡単に移動する。除染をすれば、濃縮された汚染物が発生する。どこに持っていくのか。。。参考:コロラド氏twitter
結局、東電も政府も、汚染度の高い地域からの避難も食料汚染基準もは最小限度に抑えたい意向だ。政府には大幅な避難および産業・農業被害賠償をする能力がないという判断から、その最小保障ラインに留まっているのだと思うが、それにしても産業経済省による“利潤カード分配”はそのまま継続されている点は、どうにかして欲しい。
シンチ(放射線計測機)購入や、地区汚染測定、除染作業は、土木も関係してくるから、被災後のドサクサもあるし、見事な利権確保が可能なビジネス・ゾーンだろう。
汚染牛に関しても、農林省は汚染肉の出荷停止を生産者に通達しても、これにはなんら法的規制力はない。出荷を停止し、該当肉が流通しないと仮定しても、流通ルート以外での汚染肉消費は禁止されていない。検査システムが確立されてる牛肉でさえ、このとおりアナだらけなのだ。他の食品や水、ましてや腐敗土・芝生・汚泥・自動車・トラックは如何や。。。
左上の図は4訂版早川汚染マップ。もっと詳しいのは電子国土版をクリックのこと。この早川マップとnnistar放射線量マップの拡大版をいろいろ見て、とんでもないことが起こったのだと(具体的被害全体はまだ分からないにしろ)納得する。
同時に、この間も書いたが安達太良山や、それから会津磐梯山や那須や浅間山や平泉や仙台や、(東京で言えば八丁堀とか小伝馬町、木場や馬喰町とか雷門とかの)歴史を背負った(そしてアタクシも訪れた場所の)美しい地名をつくづくと眺め、とてつもなく長いため息をつくことになる。
アタクシはもう何十年も前に母国を離れた人間だ。もう母国で過ごした年月と外地で暮らした年月がほとんど同じ長さになり、母国は信じがたい速度で変わった。だが、変わってないのは(都市化がすすんで縮小したとはいえ)あの土であり、水であり、光であり、木々であり、あの豊かな食であり、地名であり言葉である。その変わってないものが異邦人であるアタクシの母国である。
“善と悪”という概念には、アタクシが無神論者であるためかも知れないが、常に漠然とした反感を持ってきた。まったき善はないし、まったき悪もない、と考えてきた。今でも“自然は善でもないし悪でもない”と思う。しかし、フクシマから母国の地を山を野を町を河岸を海を汚し、世界を何周もする眼に見えない、匂いも味もしない“物質”を、悪と読んでいいように思う。これは人間が作り出したものだ。
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915
これは3年前、リーマン・ズラザースが消滅した日である。同年9月16日ネブロ:ブラック・マンデイ
今こちらは、ギリシャが財政破綻しユーロ圏脱退、その結果ギリシャ債を抱える欧州銀行がギ国債価格大幅低下あるいは消滅をうけドミノ式に破綻するんじゃないか、さらにはユーロ崩壊まで行き着くのではないかという懸念が高まっている。
このプロセス、それに対する欧州各国や欧州中央銀行、EUやIMFや米国の対応については詳しく書かない(時間が足りない)。
はっきりしているのは、リーマン危機以来(もっとさかのぼれば2007年サブプライム以来)、各国および国際機構は、なすべきことは何もしなかった、という事実だ。時としては、すべき対策の、まったく反対のことを、時間稼ぎのためにして、ことをさらに悪化させた。財務関係者の発言、首脳たちのG8、G20、昨日のメルケルとサルコジ・パパドレンウのビデオ・コンフェランスにしても、仰々しくメディア受けを狙ったんだろうが、そんなの誰もダマセない。
はしょって結論を言えば、これからの動きがどちらに転んでも、欧州と米国のWディップ、つまり2重底不況は避けられないし、日本の状況も考えると、中国・ブラジルを始めたとするブリック圏の経済成長も、欧米日の景気後退を受けて停滞するだろう。あのドイツでさえ、第2四半期の成長率は前年度比で0.1パーだった。ドイツとオランダ・ノルウェーが、たとえばユーロ圏を出て新マルク圏を作ったとしても輸出先のユーロ圏にはドイツ製品を買うだけの購買力はもうない。、円高を嫌って海外移転した日本の生産業も、国内での失業率をさらに上げ、給与の低下を推し進めることに貢献はしても、世界景気全体が後退すれば、海外移転に何の意味もない。
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さて、フクシマにおける原発危機と世界金融経済危機を引き起こした原因とプロセスの共通項のこと;つまり、モデル(設計)と、プロバビリティ/確立論と“科学”と想定外のブラック・スワンと利権のはなし、も書きたかったんだけど、これはまた別の機会に。
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今夜のオマケ話。
3日ほど前、ひさしぶりにマドレーヌ界隈を歩いていた。天気もいい午後の3時、ロワイヤル通りのマキシムのあたりでパトカーのサイレンが聞こえた。「あれってアレかも」と思ったらやっぱりそうだった。てポリスのバイクが先導してカラッポになった大通りを車に乗ったアレが通り過ぎていった。びっくりしたのは、アレは前の助手席に座って、うれしそうに運転手としゃべってたってこと。ああいう人は、リムジンの後席の黒っぽいすりガラスのむこうで、落ち着いて熟考してたりってイメージだったんだけども。「背が低いから前が見えないんでそうしたんでしょ」と、K夫人は言った。しかし子供みたいなヤツだな。
あれじゃ簡単にスナイプできそうと言ったら、うちのギャラクシーII S君 (2ヶ月前にゲットしてから、これがないともう生きていけないんだそうでこう呼ぶことにした)は、「防弾ガラスだから無理だよ」と言われた。
アレは今日トリポリでド・ゴールのまねしてた。残念だが、フランスももうおしまいである。
メルクール事故関連はル・モンドからリンクだけ。
A Marcoule, avant l'explosion, le four était déjà sous surveillance
これはメンバー会員じゃないと読めないけど:Accident de Marcoule : "Un geyser de métal en fusion"
7月にはトリカスタンの事故があったし、8月末にカナール・アンシェネがすっぱ抜いフラマンヴィルのEPR(第三世代原発)の手抜き工事と老朽化の問題に加えてこれだ。おまけに選挙を控え、原発系報道は本当に少ない。
しかし、核中毒のフランスに比べれば、今起動している原発は20パーセントに過ぎない日本が脱原発するには、政治的決定さえあればあとはたいして問題ないと思えるんだけど。なにしろ世界景気後退ですから、キバッって電力使う必要性はどこにもないよ(しかしなんで黙って菅を辞めさせたんだろうかねえ)。
なお、最後の写真はうちのベランダからケイタイで今日撮ったもの。上空の秋の雲と、地上に近い夏の雲が同居していた。このごろ朝は寒いが日が照ると日中は20度を越す。