短く書きます。
日本
先週の金曜18日と続く土曜日の、大飯の原発再稼動に反対する首相官邸前抗議の様子は、ネット・ライブで見ていました。一万2千人が金曜の夕方に集まってたそうだ(この数字、「日本野鳥の会」の人がヴィデオ見て数えたそう←情報源はもんじゅ君)。
だが、ご存知のように再稼動は「手紙を郵便ポストに投函する」みたいに決まっちゃった。同時に社会保障制度改正(改悪)と消費税増税と不法DL刑罰化・オスプレイ沖縄配置、あとにはTPPと予定は詰まってまして、年末あたりに議会解散となるらしい。
首なしペンギン・ドジョウ首相は、要するにどこかから降りてきたオーダーをそのまま実行するためだけに送られた派遣ロボット首相だったんでしょう。そのオーダーがどこから来てるかは、まあ、想像できる。
大体、菅おろしが必要だったのもこのオーダー実現には邪魔な人になっていたからでしょう。「想定外」の原発事故があったからね、シナリオが変更された。で、派遣要員送った。
そんなこんなで、この週末はフランスの国民議会選挙も、ギリシャ再総選挙も重なり、アタクシは惨憺たる気分であった:ウイスキーじゃダメ、もうウオッカのレベルね(単なるたとえです)。
昨日見たvideo 貼っておきます。IWJの岩上さんによる脱原発弁護士、河合弘之さんインタヴュー。1時間50分ほどあるけど、さすが弁護士の河合さん、誰にでも分かる言葉で原発について、原発村(あるいは帝国)について、政治について、人生についてなど語っている。カツマタ3兄弟(東電・新日鉄・丸紅)について、電力産業に関わる設備投資が日本のそれの60パーセントを占めるって話や、フクシマ事故のコストの話、それからアタクシのまったく知らなかった日本新右翼メンバーの名とかも出てきて、大変興味深い。
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ヨーロッパ
ギリシャ選挙では、新民主党(ND)が勝利、残念ながらツィプラス率いるシリザはダメだった。どこの大手プレスも、仏新大統領オランドまでが、ギリシャに向かって「EUに残りたいんだったら緊縮策を肯定するNDに投票しろ」メッセージを送り、世界中の大手経済紙は「ユーロ派対ユーロ脱退派」の選挙とはやし立てた。
しかし、ツィプラスが言っていたのは「EU内に残る。だがトロイカが強要する財政緊縮策は受け入れられない」ということに過ぎなかった。
どういうことか説明します。イタリアの例で言えば(ギリシャの数字は手元にないので)、イタリア国家の経済収支は黒字だが、この3月から4月のイタリア国家負債額は30億ユーロ:これは要に借金金利支払い額だ。単に市場が貸してくれる借金/国債の金利が上がったから、この金利を払うためにまた借金するはめになってるわけ。それが雪ダルマ式に膨れ上がる。膨れるとCDSスプレッドが上がり、格付けランクがさがり、またしても金利は上がる、出口なし。
欧州条約では欧州中央銀行は、その独立を守るため、加盟国には直接カネを貸せない仕組みになっている。欧州中央銀行は(ドイツ連邦銀行/ブンデスバンク)をモデルに作られておりまして、WW2時の失敗を踏まえ、英米日などの中央銀行などとは違い政治とは独立した存在で、その役目はインフレ監視だけという建前なのだ。言ってみればドイツのマルクDNAを内部に抱えてる。
しかし、ギリシャ危機が始まってからこのかた、EUからのアイルランド・ポルトガル・スペイン・ギリシャへの救済策はうどん屋の鍋状態(ゆーだけ)。後手後手にトロイカ救済(要するにカネ貸すよってやつ)があっても条件として、緊縮財政を打ち出し、ナントカ年内に財政赤字を条約にある3パーセントまで下げる、あるいはイタリアみたいに首相としてゴールドマンサックスOBを送り込むはめに陥る。
国の(つまり国民の)財産である、国有組織の民有化(税金で作った教育医療軍事組織・社会保障制度・水道局・郵政・道路・空港等々プラス公務員削減・年金も削減)や国有不動産(つまり国民の財産)の売却を強いられる:ショック・ドクトリンですね。
その間にも大手格付け企業はランクを下げ、それが下がればCDSスプレッドは上がり、国債金利は上がり続ける。
たとえば利率6パーセントの金利を払うには、PIB/GDPも年6パーセントぐらいに伸びないと財政バランスはとれない。この不況の中でどうやって6パーセントの成長が可能なのか知りたいもんです。
で、世界中の経済紙がギリシャ選でNDが勝てばユーロは救われると騒ぎ立てていた。NDが保守連立内閣を作ることになるはずだった。第一党は50の議席をオマケにもらえる仕組みだそうです。では、NDの勝利でメデタシメデタシユーロ危機は終わるはずが、月曜の市場ではスペイン国債10年ものの利率が始めて7パーセントを越えた。
というわけでドミノゲームは続きます。イタリアの次のターゲットはフランスです。
今のフランスは相変わらず解雇と倒産と閉店とそれに加えて悪天候と、いやなニュースばかりですが、まずはバナナ共和国おサルの大将がいなくなったんで、人々はほっとしている。これからはまた大変な日々が続くでしょう。(あえて好い知らせといえば、オリンピックがパリで開かれないってことぐらいか。。。)
11日の記事ですが、ロイター日本語版からスティグリッツ教授の意見
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日本の東電を中心にした産業・経済システムも、世界全体を動かしている産業・経済システムも早い話構造は同じです。過剰によって過剰な利益を拡大再生産するシステムだ。それが大きくなりすぎて、ラフォンテーヌの蛙のように爆発した。それを「爆発した」事実を否定して、business as usual で突き進もうとしている。ゾンビの行進、死の踊り。
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モントリオールではキャスロル・モヴが続いているようです。
なお、世界全体で自国の対政府抗議運動を大手メディアが報道しなくなった、あっても最小限、あるいはネガティヴ・キャンペーンだってのが実感として理解できたのは5年ぐらい前からかな、と思います。
フランスではおサル様が「これからはストやっても誰も気づかないだろう、、、。」と言ってた。現場では機動隊が厳重に周辺区域を固め、人を入らせない。報道はない。デモンストレーション当日には対抗イヴェントをぶつける、鉄道ストがあっても報道はさせない、そのためには各報道機関に息のかかった人材を投入するetc.
自国で何が起きているか知るためには他国メディアを見るしかない。(反面、根気さえあればネットでさまざまな情報が手に入るわけです。)
どこでも同じですよね。イギリスではマードック・メディア帝王と、ブレアそれからキャメロン首相の繋がりが話題にのぼっています。それへの当て馬は、もちろん王室ネタとサッカーとオリンピック。
スペインでもキャスロル部隊出現したようだ。ビンボウ人が強いのは数が多くなった時だけですからねえ。先は長いぞ。
今日本で起きている流れに抗うにはゼネスト/ゼナラル・ストライキがあってしかるべきと思いますが、残念ながら日本の社会分断はもう40年ぐらい前に完成しちゃってる。また最初の一歩から始めるよりないのでしょう。まずは鍋もっておもてに出よう(しかし、騒音防止法とかありそうだなあ、あの国)。
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