9.0地震発生から2週間たってしまいました。
19日に始まったコアリションによるリビア攻撃も始まってもう6日目です。
知らない間に季節が変わり、彼岸があって、満月は半月になり、おもてでは鳥たちがせわしくないています。
パリの気温は20度を越したらしい。これは5月下旬の天気だ。
昨日は、時々ネットで情報を追いながら、ベランダの掃除をした。吹き込んだ落ち葉を集め、この冬だめになった植木を処分し、なんと花を持ったまま冬を越したゼラニウムを整え、イチジクにかけてあった防寒シートを取り、落ち葉やもう使えない土は裏山(単なる林)に捨て、木製の小さなテーブルと椅子をベランダに出した。
カルキがついてどうしようもないコンテナーは風呂場で酢を使って洗ってから、そこにすっかり忘れていたミニ・トマトや朝顔・パセリの種まきもした。何年か前に日本で買った京ねぎの種もまいてみた:もう芽はでないかもしれないが、ためし。
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被災地の復興は、目覚しいスピードで進められているようですが、昨日複数の福島第1関連新聞報道を追っていて、うまくいえないが、これまでの原発事故に関する発表が、東電にしろ、安全院のものにしろ、官房長のものにしろ、白い煙が出た、黒い煙が出た、火災があった、海水投入した、電気が回復した、避難範囲は半径何キロ、電気が通じた、東京の葛飾浄水所が汚染されたが心配ない、作業員が被爆した、、とすべて起こったことの報告でしかなくて、それぞれの現象がどういった原因で起こったのか、これからの作業は何を目的としてるのか、もし今の作業がうまく行かなかったら、どうするのか、そういった論理的説明が一切ない。
津波直後、東電は「データがないので分からない」と続けて発表し、結局東電へ信頼性は失われた。核タブーという隠れ蓑の影で繰り返されていた東電の嘘が、これまで見てみぬ振りをしていた人々にも明白になった。
ほうれん草とCTスキャンの比較から、政府発表の安全性に対する信頼も揺るいだ。昨日発表されたSPEEDIによるシュミレーションも、シュミレーションのはずが単なる放射能出ちゃいました報告になってる。
明確な“事実”発表がないから、欧米メディアと視聴者がパニクった。(なお、世界中で現行の原発計画が疑問視されてるのは“大不幸中の小幸い”だろう。)
というわけで、昨日は半そでTシャツ姿に軍手姿で、掃除しながら、心は暗いままなのだった。
今日は一週間に一度の買出し日なのですが、あとで昨日集めたリンクなど貼ってみます。←追記した場合、タイトルに+印つけときます。
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Earthquake List for Map of Asia Region
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26日GMT20:30
結局昨日は情報集めだけで終わってしまった。まとめる力がなくなっていた。
で、一応リンクだけ貼っておきます。クロノロジカル整合性なし。
25日8:20にgooにアップされた読売の速報:燃料棒由来の放射性物質、原発放水口近くで検出 ← ジルコニウムは燃料棒を包む薄い筒の素材。これが原子炉の外で見つかったということは使用済み、あるいは原子炉内の燃料棒が破損したためだろう。
読売25日13:49:作業員被ばく、1万倍の高濃度放射能どこから?
アサヒ25日23:11:被曝作業員の放射線量は2~6シーベルト やけど治療も
毎日25日夜半:福島第1原発:自衛隊「賞恤金」1.5倍 死傷時に適用
ル。モンド(読むべきは冒頭部、あとは政治性強すぎ):A Fukushima, la cuve du réacteur 3 n'est plus étanche
NYT(避難ゾーンの区分けとそれぞれの人口など、また被爆度により想定される死者・負傷者数などもリストされている):TheEvacuation Zones Around the Fukushima Daiichi Nuclear Plant
これはメジャー・メディアではないですが医療ガバナンス学会という団体が(どういう組織なのか調べてないですがクリップ)発表したもの:なんとしても原発作業員は守らねばならない
UNEP発表チェルノビル(この地名、仏語風に表記します)放射能伝播図:Radiation from Chernobyl
アサヒ(26日朝3時):放射性物質、原子炉燃料破損し漏出か 3号機に被曝汚水
日経26日01:00:原発に真水注入、米軍と共同作戦 米側の危機感が背景
毎日26日02:30:福島第1原発:自主避難、前夜の要請 官邸、混乱を回避
§
アサヒ26日17:00:「汚染情報なぜ共有しない」東電の対応、専門家ら批判
これも。サンケイ26日01:30:原発内部の映像を公開へ 米無人偵察機「グローバルホーク」が撮影 ←無人「トモダチ作戦」。
はてなとツイッターで流通したIRSN(国立仏核安全および放射能防備インスティテュート)のQ&A日本語版PDF(ただ2011年3月としか記されていないのが疑問。IRSNのサイトを荒く探したが該当する仏文まだ見つかってない):よくある質問 2011 年3 月 ←27日追記:IRSNの英文と日本語文のページみつけました。Earthquake and nuclear crisis in Japan
IRSNによる最新のQ&A(PDF): Foire Aux Questions Séisme au Japon/21 mars 2011
同じくIRSNの日本情報ページ:La situation au Japon なおIRSNサイトには英語版もあります。
26日夜に行われたCNICの記者会見ヴィデオ(英語翻訳者いてはります)を貼っておく:全部で3本あるヴィデオの1(約30分)で続く2が長くて1時間17分。核格納容器安全性を東芝で研究していた後藤さんと、4号機の設計チームにいた田中さんによるレクチャーです。
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昨日の夜は、疲れてtvで映画「マース・アタック」を見ていたのだった。その後、ARTE で原発事故後を扱ったフィクション・ドラマを見た。製作はAndreas Prochaska。オーストリアとの国境にちかいチェコの原発に早朝事故が起こって、チェコとオーストリアで繰りひげられる政治と避難に関わるさまざまな人々の話。長さは約1時間半。あと6日ぐらいはネットで見られる:お勧めです。なお、このフィクションで原発に起こった事故は、福島第1と同じ冷却システム故障です。
独語版:Der erste Tag
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フランスでは、原発下請け労働が問題になっています。これはどこの経済セクターでも、どの国でも同じかと思いますが、1986年あたりから経費節減、そして原発関連では労災を計上しない、電電企業の株式市場に向けた信頼性データを損なわないように情報を改ざんする、危険な作業は下請けに回すことが一般的になりました。
おまけに原発が建設されたのは、かつての鉄鋼業や石炭採掘業/炭鉱が閉鎖された地区の河や海に近い場所だった。市民の反対も、国からの特別援助や原発での雇用と引き換えに黙殺された。同時に電力会社は、キャリアのある熟練社員を削減し、危険な作業を未経験な臨時下請け社員にまわす。そういった新システムに反対して辞任していく管理職技術者もいるし、元の会社に異議を唱える退職管理職も少なくない。
こういった、大型資本と現地雇用、労働組合の弱体化、コスト減少を目的とした労働のアウトソーイング、失業、自然環境破壊、などの連鎖については別の機会に書いてみたいと思います。
これは21日に仏ネット・ニューメディアRue89に掲載された東電キャンペーンとロビー関連記事:Dessin animé, musée… Le lobby nucléaire manipule les Japonais
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リビア・シリア・イエメン・コートジヴォワールなどに関する情報は、時々TVで見るぐらいしかゲットしてないので、あしたは気をつけて、何か書いてみたいと思います。
なお、今日ドイツで行われた反原発集会には、25万人以上が集まった:この動員数はWW2以降最大とか。
イギリスでの、財政引締め(社会福祉大幅カット、大学学費約3倍、BBCも社員数カットetc.)反対デモでも20万人以上が集まった。この動員数はイラク戦争前夜以来の数字とか。
ル・モンド ポートフォリオ:Les Britanniques manifestent contre l'austérité
フランスはあした地方選挙第二回投票。その後でデモ・ストあるでしょう。サル様は日本に行くとか(日本に入る始めての外国首脳を狙ってんでしょうが、われらの税金無駄遣いヤメレ:トリポリに行けつーの)。
26日の、まだちゃんと目を通していない記事についてはあしたフォローする意向です。フランスは夏時間になりました。
なお、猫屋NHK 見るのやめた:2週間で充分。
日本での震災による死者推定数は27000人を越えたそうです。
アタクシ死ぬまでに戦争には会うのか会わないのか、と《昔はモノを思わざりけり》な頃ぼーと考えていましたが、今繰り広げられている母国日本の風景は、どこかで見たww2後の日本と、さして変わりがない。
ベルリンの壁が落ち、F・フクヤマの描いた「歴史の終焉」の後、戦争は局地戦=経済・エネルギー・環境・内戦・失業・スタグフレーションなどに姿を変えたんだ。
追加メモ:昨日買い物に行ったわけだが、東京で100円だったビック・ライターがここでは3.5ユーロ(マルボロは5.70ユーロ)。同じく東京で100円だったマクドのフィレオフィッシュもここでは3.4ユーロ。今確か1ユーロは114円のはずで、100円は84セント。つまり100円のものがこちらでは約400円ですがな。バゲットはまだ上がってなくて1本125円。車持ってないのでガソリン価格上昇は未調査ですが。。。
これも持ってませんが金価格がまたまた上がってる。なお、遠地に脱出する時にはダイアモンドが一番お勧めとか(重くない)。← 市民蜂起が恐くて南洋の島に逃げるつもりの長者たちは、今度は放射能のせいで場所変えでしょう(ナントカ・ゲイツ氏etc.)。
週1でハイパーに買い出しに行くんだけど、ほぼおんなじもの買っても支払う金額は毎回10ユーロほど上がり続けている。4月下旬にもう一度日本に帰りたいが、選挙後、保険・電気ガス代・アパート管理費等も上がるはずだし、こんな状態では無理か。
こんにちは。
福島原発の報道ですが、個々の現象ばかりでそれぞれがなにを意味するのかが見えてこないという状況は、日本にいるとより強く感じます。日本のマスメディアは、政府筋の情報がやたらと多いのとそれをそのまま流す傾向がありますが、今回の原発事故では、それに加えて、次々とおこる現象を追いかけるのに精一杯という印象です。二号路から黒い煙があがった原因も、海から強い放射性物質が検出された原因も、復旧現場で高濃度放射性の水たまりがある原因もすべて「現在調査中」のまま、次々に新たな事故と状況が報じられていくという状況です。そのため、ひとつひとつの現象が「点」として散りばめられるばかりで、それらを「線」として結びつける、「それがなにを意味しているのか」「なぜそうなっているのか」「今後どうなるのか」という肝心なことがわからないまま、事態だけがどんどん進行しています。なんだか安部公房の小説みたいです。
情報をもっている側の政府と専門家はうかつなことは言えないと口をつぐみ、その一方で、素人評論家たちが当て推量と思い込みをネットにまき散らしているので、そりゃあみんな不安になるよという感じです。そうした素人評論家の中には、一万年後まで見通すという預言者まで登場して、ますます安部公房の小説みたいです。普段なら大笑いなんですが、いまはあまり笑えない状況です。
http://twitter.com/ikedanob/status/47520416402649088
私は原発の評価とイデオロギーを結びつけるべきではないという立場なんですが、日本は原発推進を「国策」としてきたせいか、ネットの評論家たちには、いまもそうしたイデオロギーと結びつけて全肯定・全否定する傾向が強いように見えます。
投稿情報: box96 | 2011-03-27 07:25
こんにちは。
そちらの天候はどうでしょうか。NHK見なくなったので、東北の空の様子が気にかかります。
これはいつか文にしたいと思うのですが、若い頃突然母が倒れて、それまで小説や絵画などの「空想世界」が「現実世界」よりも大切だと信じていたのが、現実とは「空想」を簡単に蹴散らすとこができる「暴力」なのだと、やっと気がついたことを思い出しました。「現実は圧倒的に空想を凌駕する」とノートした。←埴谷雄高とかカフカを読んでた頃です。
池田某は、フーコーを引用して、文の最後で「だから民営化が必要だ」と持ってくるヤカラで、なんであんなのの言うことが重要視されるのかまったく理解できない(他のブロガーにもいますが、多分オーダーしてるヘッド組織があるんでしょう)。
原発には、背後にビッグ・マネー、ロビーが控えていますから、複雑です。
原発とエネルギー全体、それに建設・軍備・医療・教育は、それぞれ最初から政治性が強いセクターなので、対する私たち一般人が心してかからないと、同じ間違いを繰り返すことになると思います。
おまけに、メディアがメディアとしての機能を果たさなくなって、それでジュリアン・アサンジやアノニマスなどの活動が出てきた。
被災時の人々の冷静さや、東北の復興が驚くほど早いのは、日本の縦型社会構造がうまく機能したおかげだと思いますが、この縦型が悪いほうにふれれば、福島第1での作業者被爆、といった惨事にもなる。難しいです。
投稿情報: 猫屋 | 2011-03-27 13:12