状況は刻々と変わっており、正確な情報は誰もまだ掴めていないようです。
ベン・アリ大統領(これまでの23年間、ティニジア大統領職にある。元軍人で、フランスのサンシールで軍人教育を受けている)は昨日夜のTV演説で『大統領任期が終わる2014年以降は大統領職に就かない。これまでの反政府活動で逮捕された人々の釈放と報道規制解除(YouTube!Daily motion・外国メディア・政府に抗議する個人ブログやサイトは検閲のため機能していなかった)を約束。汚職に関する監査組織をつくり、汚職をなくす。警官によるデモ参加市民への実弾使用の禁止。』などを公表した。
だが、昨夜夜にも、現地医療関係者により13人の死者が確認され、逮捕者も解放されていない。翌日14日の首都チュニスでは5000人を超す市民がベン・アリ政府に対する抗議を訴えた。それに対して警察は催涙弾と実弾を使用したようだ。
チュニス周辺は軍によって固められているが、軍内の決定がベン・アリ大統領に近い人物によって行われているのか、あるいはより市民の側に近い軍人によって掌握されているのかは不明。
アルジャジラの報道によると、ベン・アリ大統領はチュニジアを離れ、サウジアラビアへと向かったとあった。他の報道では、バン・アリ大統領はチュニスを発ったが、行き先は不明と発表している。←追記;目的地はパリであったらしいが仏政府はそれを拒否。
また、ベン・アリ大統領の3人の娘はカナダに到着した、という報道もある。現在のベン・アリ夫人はチュニジア経済界を牛耳る人物であるが、今どこにいるのかはわかっていない。
チュニスの空港は軍によって閉鎖されている。
大統領が不在である以上、軍が60日間の暫定的政府となるようだが(つまりクーデター)、誰が軍を把握しているのかによって、これからのチュニジアの情勢は多いに変わってくる。60日後の選挙で新しい大統領が選ばれることになる。← 14日午前一時半に追記:チュニジア憲法によれば、議会議長が臨時的に大統領席を次ぐはずだが、議長はこれを断念した模様。元首相が次回の大統領および議会選までの臨時的国家元首であると発表。しかし首相は元大統領ベン・アリに極めて近い人物で、チュニジア市民と軍隊がこの暫定政権を支持するのかどうかは、誰にも分かっていない。なお、ベン・アリ元大臣とそのヘッド・クオーターは、ヨーロッパや中近東、その他の国々に別荘を所有している。今のところ元大統領ベン・アリの大統領機がどこに到着したのか、あるいはどこを目指して飛行中なのかは明らかになっていない。
いずれにしろ、今回のチュニジアの大きな動きを引き起こしたのは、軍でもなく、外国勢力でもなく、宗教系の団体でもない。組合組織でもなく、政治団体でもない。リーダーもいない。一般市民の“貧困と失業と国家検閲と報道および集会と発言の自由、腐敗した政治に対する反抗”の声だ。人々はツィッターとfacebook、外国に住む市民たちとのケイタイでの情報交換、パラボラアンテナでキャッチできるTVでの報道を得ている。もちろん、チュニジア自由化、民主化に協力する国内外アノニマス無名ハッカー、ブロガーたちもいろいろな形でバックアップし続けている。
総国民の40パーセントを若者が占めるチュニジアでは二重あるいは三重国籍所有者も多く、フランスをはじめ諸外国で勉学・研究を続けている若者も多い。その彼らと、自国に留まって23年以来の圧制下で抵抗を続けてきた青年たちに共通なティニジアの未来を期待したいと思う。ヴィクトル・ユーゴーは言った:学校を開くごとに、刑務所の数は減っていく。
この動きがイスラム圏の、あるいはもっと広い地域で、新しい流れを生む可能性だってあるんだ。再び:John Lennon - Power To The People
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もうちょっとはっきりしたことが分かったら、リンクもつけて、また書くつもりです。
とりあえずアップ。
右のカリカチュアはchimilus から借りてきました。
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