実はこの映画、こちらで封切りされた昨年11月に見たんだけど、ブログ化しないままストックしてあった。こないだ、この映画を撮った(また当映画内で経済要人たちに質問しているのもこの人)リチャード・ファーガソンのインタヴューをネット上で見る機会があって、サルヴェージしてみることにしたんだ。
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この映画は、サブプライムに始まる“金融・経済危機”がどうして可能だったかを、まずはアイスランドのケースをイントロダクションに持ってきて、続いてマンハッタンでの大物経済人・学者たちへのインタヴュー、録画映像をつないで説明しようと試みる。
インサイド・ジョブとは内部犯罪をさすわけだけど、監督のファーガソンも、バークレーの大学、のちにはMITで政治学と数学を学んでphドクターを取り、クリントン下のホワイトハウスで顧問も勤めている。また、スタート・アップを手がけマイクロソフトに(懐かしのエディターソフト)フロント・ページを売却しかなりの財産を得てるわけで、彼自身がインサイドの人間だと見ることだってできる。← ここいらへんが、マイケル・モアとは対照的だね。
映画としての美学的できについて言えば:制作費かかっただろうなあ、、、の一言で終わっちゃうんだけど、ファーガーソンの危機観、つまり今起こっていることは1970年代中盤から次々に繰り広げられた金融規制緩和と、金融界と民主・共和両党米政権との密着した(あるいはしすぎた)関係、それと米政府・金融界と米経済学人のつながりの結果だという話を、この映画はシャープかつクリアーに展開してみせる。
惜しむらくはパワーポイント風CDO やCDSの説明が簡単すぎて明確じゃないこと、それとオバマチームの経済スタッフ全員がインターヴューに応じなかったために不在なことが上げられる。
出てくる話自体は、ほぼアタクシの知ってたことなので特に驚きはしなかったが、ルービニ教授とかヴァルカーとか、記事上で知ってた人物の本物が出てきて、たとえばヴォルカーの米語が妙に癖のあるものだったりする、“知識”と“現実”のギャップが意外だった。
なお、ナレーションはマット・デイモン。彼の声のヒューマンさがテーマのアンチ・フューマンさを救っているとアタクシは思う。
途中で出てくる仏人のラガルドとDSK(ストラスカン)が“まとも”な政治家に見えてしまうという、ゾンビーたちがダンスする場、ウォールストリート・ガバメントのリアリティに関するこの映画は、“今起こっていること”について知りたい方々にぜひお勧めです。
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追加映像、ファーガソン・インタヴュー
まずはCDSニュースのから、
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こちらも;大手メディアではないのでよりアンフォーマルでよい。最初に、上に貼った“予告”版があり、その後がインタヴュー。
なぜオバマは大統領就任時に大幅金融改革を行わなかったのか、あるいは行えなかったのかという疑問(答えはなし)と、二大政党制という罠からどうやって脱出すべきか、米国にとってこれからの希望はなにか、、とか語ってます。
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