簡単にメモです。
おととい、いつものようにネットを一回りしていたら米発のZero Hedge で Violence Over Surging Food Prices In Algeria Spreads As Rioting Leaves Many Dead In Neighboring Tunisia という記事にぶつかった。アルジェリアとチュニジアで起きている飢餓暴動/反政府市民運動のことは報道で読んでいたが、Hedge にはアルジャジラの流した映像が貼ってあり、本文記事の最後には、病院で撮られたケイタイヴィデオへのリンクもある。
これがひどい(平和主義者は見ないように!):担ぎ込まれた負傷者・死者;20歳から25歳ぐらいと思われる青年たちは、頭あるいは胸部を撃たれて いる。これは狙い撃ちだ。このヴィデオには取った場所や時刻の記載はないから、ネットで何が(本当に)起きているのか、探してみた。
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昨年12月17日にSidi Bouzid という街で、許可なしで野菜やくだものを売り歩いていた26歳の青年Boazizi は、警官に商品を押収されてしまう。大卒だが失業中だったBoazizi は、警察と現行政府に対する抗議の目的で焼身自殺を図る。
Boazizi は結局、収容された病院で死亡。19日早朝の埋葬の後、一般市民5000人(街の人口は約4万)が自然発生的に葬儀行動に参加し、政府への抗議を訴えた。対する政府は抗議運動をテロリズムと見なし、警察は強硬な鎮圧行動に出る(催涙ガス・ゴム弾使用、実弾使用、のちには戒厳令、軍隊出動etc.)。
市民の反対運動は、厳しい報道およびネット規制や戒厳令にも関わらず、特にFacebook での呼びかけを通じて他の都市にも広がり、水曜日には首都チュニスでも行われた(死者3名)。
政府は、ネット規制、ブロガーおよびラッパーの自宅監禁や逮捕、一部の電話回線ブロック、ジャーナリストに対する暴行、12月31日に行われた弁護士ストでも(全弁護士の95パーセントが参加)警察は暴力行使を含めた強行鎮圧をしている。
ベン・アリ大統領はTVで、内務大臣の免職、30万人の雇用を約束し、同時に抗議運動で逮捕されている人々の釈放を約束したが、実際には強行鎮圧は続けられており、逆に、街中に覆面をした壊し屋を送り込んで扇動を図ったと批判されている。
最初に運動が起こった3都市での、24時間の市民死亡数は11日の公式報告では14人。だが人権リーグ(FIDH)は、約3週間で66名の死者数を上げている。
抗議者たちは、政府の汚職、生活苦、高い失業率への抗議、報道・言論の自由、司法の独立等を訴えているが、政治あるいは宗教的な背後はないと見られている。facebook の自分の写真欄にチュニジア国旗を載せてる抗議者も多いようだ。
テュニジアは、隣国モロッコ(フォスフォール)やアルジェリア(原油・天然ガス)のように、天然資源は有しないが、比較的安定した政治と安価な労働 力のため、観光および欧州に向けた輸出で、逆説的だが(イスラミストからの攻撃もなく)モロッコやアルジェリアよりは安定していた。だが、外国からの資金 で行われていた産業化・観光化も2008年の金融危機以来ストップし、教育システムは機能しても、学位をとっても就職できない若者の率が高い。同時にベ ン・アリ政権腐敗を背景に、このところの原油価格、小麦・砂糖価格などの急上昇が、平均年齢が若く、平均学歴も高いこの国の青年層による抗議へとつながったんだろう。
昨夜のTV番組Ce soir ou jamais では、われらが長老(93歳)ステファン・エッセルも加わって、喧々囂々の討論が繰り広げられていた。今のところ、フランス政府はティニジア・アルジェリ アの抗議運動に対して明確なコメントは出していない(仏内務大臣アイユ・マリは、ティニジア政府に“抗議鎮圧のノウハウを伝達しよう”というなんとも恥ず かしいオファーをしたようである←未確認)
今のところ、ティニジア軍に動きは見られない。これからの動向は、EUやUNがどう反応するか、また軍隊がどう動くかで大きく変わってくるだろう。
以上は、混乱した報道の中から拾った情報なので、正確さには欠ける恐れもありますが、まずはアップ。
レバノンでも、ふたたび政権問題が深刻化している。
2007年のサブプライムで始まった金融危機は経済危機、食糧危機に形を変え、社会危機そして政治危機にまで拡大したと、アタクシは考える。
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参考
リベ:En Tunisie, décès du jeune homme qui s'était immolé par le feu
Au moins 66 morts en un mois en Tunisie
le point:RÉVOLTE EN TUNISIE - Moncef Marzouki : "Ce sont les dernières convulsions du régime"
L'express(ウィキリークスが公表した公電を紹介している):WikiLeaks ;En Tunisie, une "quasi-mafia" entoure Ben Ali
ル・モンドから:Le chômage des diplômés, moteur de la révolte tunisienne←《学歴保有者の失業がチュニジア反抗の動因》
昨日の夜のCe soir ou jamais ← 最初はステファン・エッセルへのインタヴュー。第二部(17分45秒あたりから)がアルジェリア・チュニジアに関する討論。司会のタデイも言ってるが、北アフリカ・マグレヴ圏では多くの人々がパラボラ・アンテナで仏テレ番組を見ている。実際、討論参加者内には、現地市 民を代表する作家もいれば、仏政府あるいは仏外交を代表する議員や専門家、チュニジア政府に近い人物もいるわけです。ここいらへんの読みは非常に難し い:長老エッセルがいるんで、若干すくわれた気分になった。
これも。まだ読んでないんですが仏ウィキからベン・アリ大統領:Zine el-Abidine Ben Ali
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