今日こそは動こうと決めていたんだけど、結局、家でゴタゴタ溜まった書類の片付けで一日が終わった。
*
遅い朝、台所のラジオ(BFM;ビジネス専門FM)つけたとたん、リーマン・ブラザース破産宣言。おお来たか。
ここんとこオイル価格下落と対ユーロでのドル上昇から米経済・株価の持ち直しムードだったわけだけど、「そんなこたないよな」と米大統領選挙ニュースも横目でにらみつつ思ってた。
おまけに、メリル・リンチをバンク・オブ・アメリカが買収(500億ドルだって):がががーん。リーマンは切って、メリル・リンチは残す算段である。確かに、Bear Stearns(JP Morgan が二束三文価格で買収) のあと Fannie Mae と Freddie Mac の救済にキャッシュつぎ込んで今度はメリル・リンチだもん。こりゃこれ以上無理でしょ(と思ったら、AIGも救済みたい、あやや)。
ネットでル・モンド速報を読みグリーンスパンが「こんな混乱はわが人生で初めて。米国がリセッションに突入する確率は50パーセント」とコメントしたと知る(種まいといて、そりゃないよ大将=現在ジャンクファンド顧問だし)。同時に米国政府は米金融業がAAAつきジャンク・ボンド(要するにサラ金)から融資を受けることを許可とかなんとか書いてあった。
もちろんリーマンはロンドンにも会社持ってるからね。シティはまたもやパニクッてるはず。これでかなりの金融ブローカーやアナリストが職を失うだろう。去年のボーナスで買った四輪駆動も、中古車大放出バーゲン行きである。
英国銀行・欧州銀行とも大量な現金をまたもや放出(すんませんねえ数字なしです;200ユーロ以上の大金ってなんとも数字が記憶できないのだアタクシ)。あのドミノ金融破産を防ぐ目的である。
日本でのニュースをちょっと覗いたら、リーマン・ブラッズ証券会社とノミネートしてる。でも問題は金融自由化政策で、当社は証券だけじゃなくて、企業相手の銀行としたら米国でもナンバー5だし、かなり複雑なデリバティフに多く手を出して、当然世界不動産金融にも関連しワールド・ワイドに活動してたわけ。つまりこの破産の火の粉がどこまで飛ぶかは誰にも分からないんだよね。
直撃は、まずロンドンと東京と、ベルリンも危ういかも。フランスではソシエテ・ジェネラルとかクレディ・アグリコルの株価が下がった。問題はサブプライムで弱体化した世界金融プラス不動産業界に、リーマン破産の津波が影響するかどうかだけど、まあそうなるだろう。
デリバティヴとか、オプションってさ、本来はリスクを少なくするために数学の天才たちが一生懸命考え抜いて作り上げた、奇妙奇天烈・摩訶不思議・絶対複雑系の金融商品なわけで、ちょっとやそっとでは中身がなんだか分からないブラック・ボックスでありまして、そのブラック・ボックスが順調に機能してる間はいいんだけど、どっかで焦げ付くと世界中のブラック・ボックスが連鎖核爆発反応を起こす。バン・バン。
サブ・プライム・ドミノ倒産で株価が下がり始めたころ、「いいざま。金持ちが損してるわけじゃん」と笑ってる連中もいたけど、ここまで来ると笑っていいともな状況ではないよ。かつてフランスでのクレディ・リヨネ大型負債のときも、結局は国家が大量にキャッシュつぎ込んで破産を回避した。あのキャッシュってわれらが払う税金だもんね。
これで、また金融界M&A再編成が始まる。たしか、フランスの郵貯、ポスト・バンクとドイツバンクが相互乗り入れしそう。アリタリアもバーゲン身売りになりそうだし、金利はまた上がって倒産レースの始まりだ。ああ、金詰り。ああ、就職難。おまけにインフレ。
こちらの友人・知人の間でも、不動産を売りたがってるケースが数件。買いたがってるケースは一件だけ。聞いたらこのごろは、不動産屋に売る物件、あるいは賃借を依頼しただけでかなりな手数料を取られるらしい。以前は売買契約時の手数料だけだったんだけど、それじゃあ不動産業者のペイが出ないんだろう。
フランス不動産市場から、イギリスや米国、イタリアとかスペインの投機目的のオーナーが引き上げ始めたら、価格が予想より大幅にさがる可能性あり(一週間ぐらい前の専門家の意見では、この2・3年でパリでも25パーぐらいは下がるだろうと言ってたけどね)。
んっとですねえ。今回のサブプライムから始まった金融危機は、「クレジット・バブル崩壊」と呼ぶべきだと思う。ヴァーチャルな金で潤っていた世界金融市場のヴァーチャルなクレジット・バブルがはじけ、リアルな経済(生産・建築)を動かしてる資本を侵食するという新型です:誰もが得する「win・win」 じゃなくて、誰もが損する「lose・ lose」。
あとは、M&A連鎖にどこまでオイル系(サウジ・ロシア・イラン・ボルネオ国家資本)とか中国・インド・ブラジルなんかの資本が食い込むか、だよね。同時にオイル価格がどこいらへんで安定するのか、しないのか。米国大統領選挙がどっちに転ぶのか。。。
参考記事リンクとかは、またあとで貼ります。どんどん情報が流れてるんで今貼っても内容が刻々変わるし、アタクシは眠いのだよ。しかし、今夜は金融系・IMF(ストラス-カン)・WTO(パスカル・レミ)とかの中の人は寝れんだろうなあ。
まだ読んでないがFTエディトリアルとかNYTのクルーグマン(追記:金融ロシアン・ルーレットだそうだよ)はどう反応してんだろう。自由経済は均衡をもたらすはずが、逆に自由化がカオスを生み、結局ネオ市場主義圏で金融業の国有化でしょ。
「神の見えざる手」って、どの神様ですか?とあたりを見回してみるわけだ。
こんにちは お久しぶりです。シティバンクは破綻すると思われますか?
そう予想する方もいらっしゃるようですが。
フランス人の日本観光ブーム、1回につき3週間、リピーター多し、というのは、そのまま続いてほしいものです。日本各地の神社仏閣を回ったりするみたいですね。日本語できるフランス人が、グループで、京都に一戸建てを1週間借りて遊びに行ったとか聞くと、やるなあ、と感心します。30代フランス人サラリーマンで、出張やバカンスで日本好きになる人も多いようですよ。清潔、公共交通手段が正確、食事は美味い、ってことで。
投稿情報: らむ | 2008-09-17 16:31