これは20minutes経由で拾った:25日木曜に、ホワイトハウスで例外的に次期大統領候補オバマとマケインを交えて行われた、ブッシュ大統領・両議会・米財務省・FRB(FED)のトップ会談での逸話です。
会議内容はかなり荒れたもので、ポールソン米財務長官とバーナンキ 米連邦準備理事会議長が準備し共和党ブッシュ大統領の提案する大型金融救済策に対して、共和党の下院議員から喧々囂々の反対論が出て、大統領もそれを静めるのに苦労したとか。
会議は夜遅くまで続き、ミシシッピーでのTV討論のため、すでにマケインとオバマ両氏は無言のまま退場した後だった。喧騒の中、民主党メンバーが会議場であるルーズベルトルームを去ろうとした時、ポールソン米財務長官(もとゴールドマン・サックスCEO)はナンシー・ペロシ下院議長の前に跪き(ひざまずき)、「お願いだから(金融システム救援案を)破裂させないでください(意訳なり;原文 he pleaded not to “blow it up” )、と嘆願したんだそうだ。それに対してペロシ議長(カトリック)が「あなたがカトリック信者だとは知らなかった。破裂させるのは私じゃありません。共和党です。」と答えると、ポールソンは「I know. I know.」という意味のジェスチャーをした。。。
以下は、NYT記事の原文から。
“I didn’t know I was going to be the referee for an internal G.O.P. ideological civil war,” Mr. Frank said, according to The A.P.Thursday, in the Roosevelt Room after the session, the Treasury secretary, Henry M. Paulson Jr., literally bent down on one knee as he pleaded with Nancy Pelosi, the House Speaker, not to “blow it up” by withdrawing her party’s support for the package over what Ms. Pelosi derided as a Republican betrayal. “I didn’t know you were Catholic,” Ms. Pelosi said, a wry reference to Mr. Paulson’s kneeling, according to someone who observed the exchange. She went on: “It’s not me blowing this up, it’s the Republicans.” Mr. Paulson sighed. “I know. I know.”
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ベルギーではNo1、オランダでNo 2 の銀行である Fortis
が、サブプライム関連負債を多く抱えているという疑惑から株価が暴落、破綻の危機にさらされていますし、英国では大手銀行のB&B(ベッド&ブラックファーストではもちろんなく、 Bradford & Bingley)の国営化が進められています。
米連邦議会では、大型金融救済案の大枠につて共和党と民主党の合意が取れた模様。
関連記事:"De grands progrès" vers le plan de sauvetage américain
追加記事:Crise financière: accord sur le plan de sauvetage
昨日夜、プリンストン大学でのクルーグマンも交えた討論会(つか説明会)のヴィデオなんとなく眺めてたんだけど、結局のところ、お膝もと米国経済界での今回の金融危機に対する理解が一番遅れているようにも思う。 まあ、あそこは「レッセ・フェール」経済論の砦だし、当然といえば当然。
同時に、政府広報化した世界大手メディアは、心理的「バンクラプト→クラック」伝染病を恐れる政府メッセージ「われらが金融システムは健康なり」報を流し続けてたし、複雑系化した現行株価システムでは1929年のようにクラックはいっぺんに起きるんじゃなくて、株価急落はより長いスパンにわたるから、一般市民・政治家に今回の金融危機のポテンシャルとしての“リアルな規模”は分かりにくい(某仏共和国大統領はまったく分かってないに5000憶ドラクマ)。
ただ、ブッシュの今回のシリアスぶり、ストラスカーンの一般人に向けたメッセージ内容に加えて、純粋経済工学人ポールソンの跪きがあるわけで、これから単なる金融界および政治でのトークショーレベルを超えて、より幅広いシステムに広がっていく危機にむけて、世界政治ヘッドが一般人説得(vulgarisation)に乗り出した、とアタクシは読む。
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TVでジョージ・ソロスが「今何をすべきですか?」という質問に「今は、買いの機会です。とにかく私は、大方の人間がやってることの逆の行動に出て成功しましたからね。」と答えていたが、これとは別の意味で、今のカオスは、過去のドミナント・オーダーから解放されるいいチャンスでもあるんだけどね。まあ、ドツボにはまる可能性も大なんだけどさ。
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