今年の4月と5月に予定されている仏大統領選挙(一次と二次選挙があるわけ)、シカトすることにしてたんだけれど、面白いブログを見つけたのでご紹介。これです。
サルコジ候補はその選挙事務所を、パリは10区、サンドニ門近くの 18 rue d'Enghien という住所の一階に構えたわけだ。このアパートの住人が、選挙事務所オープン以来毎日起こる不祥事にむらついて、作ったのがこのアンチ・サルコなブログと言うシナリオです。内容は、平和な下町の日々が、選挙員とメディア軍と警察隊によって、突然“やってらんない”状態になってしまったという、証拠写真や市民の書き込みからできている。(やらせっぽい風情もないとはいえないけど、そこは冗談風味でカバーしてますね。リンク先にミシェル・オンフレのページがあったりして、なかなか渋いし。)
ここは繁華街グラン・ブールバールのそば、北駅・東駅にも近い庶民的界隈。とはいっても以前のユダヤ系住民は次第に減り、だんだん住居難のせいでボボ(ブルジョワ・ボヘーム)が進出、同時に、いつのまにかトルコおよびクルド移民が仲良く共存してもいる。
その“オンギエン通り18番地住民”のブログ、タイトルは RENTRE CHEZ TOI 、意味は「帰れ/ゴー・バック・ホーム」とでもなりますか。パリ郊外の高級住宅地ヌイイに子供時代から住み、長い間そこの市長だったサルコジに、この下町から出てヌイイに帰れ、とアジテートするブログですね。当ブログが話題になった火元は、フランス警察情報部(RG)が、テロリストやスナイパーから市民を守ると言う理由で、周辺住民の身辺調査を行っていたというヌーベロプスすっぱ抜き記事のようです。
先週と今週、すでにあのカナール・アンシェネが、情報部絡みで記事を書いている。社会党候補ロワイヤルのエコロジー担当者(元仏グリンピース代表者)の、離婚問題も含めた個人的過去を情報局が調べていたという記事と、ロワイヤルと社会党党首でもある夫、オロンド氏の資産をこれまた情報部が調査し、2ヶ月後にはその内容がメディアに流れてた、という記事です。
問題なのは、ニコラ・サルコジ氏がUMP党首であり、現内閣での内務相であり、次期大統領候補でもあること。本来ならば選挙戦および選挙が順調に、つまり違法行為なく行われることを監視するのが任務である内務大臣が、自分の管轄下にある情報局を“候補である私”のために使ったと、疑われているわけだ。
ちなみに、テレビTF1の社長ブイグはサルコジ氏の仲人(のようなもの)をした人物だし、その他のメディア大物ボスもほとんどサルコジの近しい“友人”。最近はル・モンド紙もプロ・サルコの色彩が強い(と猫屋には見える)。
たとえば、イタリアではメディア王のベルルスコーニがそのメディア力を大幅に活用して、首相に2回もなっている。やめさせるのも大変だった。「戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは極めて困難だ」と言ったのはチャーチルだったと思うけど、「大統領を選ぶのは簡単だが、やめさせるのはとても大変」なわけです。某米国現大統領や某日本国首相(複数)の動向を見てると、シリアスにそう思う。
てなわけで、サルコジが大統領になると極めてここでの生活が困難になること疑いなしのアタクシとしては、18番地の住人の草の根運動におおいに期待したい所存でございます。
なお、かなり前に紹介しましたが、IZNOGOUD クリック運動はいまだに展開されておりますので、ご協力のほど、お願いいたします。
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おまけ、というか:ブッシズムのむこうを張って、サルコジスムを集めたYouTubeつきエントリーを見つけました。Mon oeil ! SARKOZYSMES いくつか拾います。
" Je crois qu'on ne fait pas n'importe quoi avec l'homme, qui n'est pas une marchandise comme les autres"(discours de Saint Etienne) 「他の商品とは同様ではない人間を、どう扱ってもいいわけじゃないと、私は信じる。--サンテチエンヌでのディスクール。」
au congrès de l'UMP, il assure :« J'ai connu l'échec et j'ai dû le surmontrer» UMPの集会で「私は失敗を経験し、それを見せびらかさねばならなかった。(本来ならsurmonter/乗り越える、のはず)」と断言した。クックック。