観てきましたよ。Blood Diamond
2003年の映画ザ・ラスト・サムライの監督エドワード・ズウィックの新作です。主演はあのディカプリオ。
できは?というと、簡単に書くのはちょっと難しい。ちょうど一年前のジョージ・クルーニーのSyriana におけるミリタンティスム/アンガージュメント的モティベイションとエンタテイメント性のきわどい喫水線上にこの映画は位置してると思うからなんですね。
ローデシア(現ジンバブエ)に生まれた白系アフリカ人、ダニー・アーチャーは傭兵としてアンゴラ等の内戦で働いた後、現在はシエラ・レオーネで秘密裏に採掘されるダイヤモンドをヨーロッパの大手ダイヤモンド商に売りさばくトラフィックを生業としている。そのシエラ・レオーネで反乱軍が蜂起、米国人ジャーナリストであるマディ・ボーエンとシエラ・レオーネの漁師ソロモン・ヴァンディとともに、われらがアーチャーはソロモンがダイヤモンド採掘所に隠したピンク・ダイヤモンド原石を手に入れようとする。。。とまあ、そういうわけだ。なお撮影は南アフリカとモザンビークで行われたそうです。
話のはじめは、アフリカの漁村の平和な朝。ソロモンおっとーが息子を起こして学校に送り出す。おっとーが漁に出ようとすると、、、トラックに乗ったゲリラ兵が押し寄せて、村を無差別攻撃・略奪。生き残った村民を捕らえて、彼らの両腕をマシェット/ナタでスプラッチ!と切り落とすんですね。あーあ。
ルアンダ関連本とかで、文章では読んだことあるけどまじ映像で見るとは、、(てか、思わず目をそらしてしまいました)。実際のシエラ・レオーネ紛争時現地に残っていたジャーナリストがこの映画のコンサルタントとして起用されている。シリアナと同じように、ハンディ・カメラを多用しているからルポルタージュっぽい臨場感はいやでも高まるわけだ(タイトルは血のダイヤモンドでありまして、シリアナやジョークを盛り込んだ Lord of War に比べても血液噴出度はかなり高い)。
内戦というのがどういうものなのか、ダイヤモンドや鉱石・原油がどうやって内戦資金と姿を変えるか、開発国の企業がいかに内戦につながっているか、などなどを扱っていますが、この映画で一番痛いのは少年兵たちの存在です。欧州では、メディアによる報道もかなりあるのですが、その他の地ではあまり流通してない情報と思われる。キッド・ナップされた子供たちは、麻薬を与えられ、集団生活の中で殺人機械として教育される。恐怖を知らない子供たちは、大人よりも優秀な機械となりえるんですね。
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かなり油の乗った30台ディカプリオ。悪くありません。アフリカーナの無骨でストレートな英語アクセントで大人の汚れ役に挑戦してます。クルーニーの後を継ぐ渋い米国俳優になりますか、どうか。リチャード・ギア、ケヴィン・コスナー、ミッキー・ルーク、トム・クルーズにブラッド・ピット、、、米国美形俳優はどうも年を喰うとヘタレル傾向があるように思えますが、ディカプリ君には踏ん張ってもらいところです(ドパルデュー、ショーン・ペンとかジョニー・ディップはそんな悩みがないので羨ましいですね。。。いや言ってみただけ)。
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ジョナサン・リテルの小説に対しても、“残虐への覗き見趣味”だとする批判がありました。この映画からアタクシが感じた居心地の悪さは、映画というジャンルにおける、この“事実”とフィクションの極めて微妙な関係からくるのだと思います。まあ、年齢的、言い換えれば世代的暴力度抵抗力の問題かもしれませんが。
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