ル・モンド社説:4月3日発行(日付4日)ル・モンド紙よりね式訳出
アブラカダブランテスク 訳注
まるで何事もなかったかのように、26歳以下の若年者の初回雇用契約(CPE)の設立を予見するところの第八条を含む、機会平等に関する法が4月2日、日曜の官報で公布された。シンボリックに、ジャック・シラクとドミニク・ド・ヴィルパンのほかにも、政権内のほぼ半数の – 内相ニコラ・サルコジを含む -14人の大臣 が簡略署名を添えている。死産の、あるいはほとんど死産に近いCPEにとって、これは大変な名誉だ。
この出来事は、状況のシュールリアリスト的性格をこの上もなく現している。3月31日以来、まったくの混乱(imbroglio)だ。まず、国家元首のTV演説の前に、ある首相は、シラク氏はあらかじめ彼との合意のもとに決意したのであると保証した。そして、ある共和国大統領は、CPEは公布されるだろうと断固として宣言し、しかしなんとしてもそれを適用してはならないと勧告した。それから、ある社会連帯相ジャン-ルイ・ボルローは、220以上の職種部門に対して、CPEタイプの雇用契約書書式は発行しないと予告した!
憲法に沿っていえば、状況はさらにバロック(奇妙)なものだ。ド・ヴィルパン氏は、当件から無条件に手を引いた以上、その強硬な態度のために制裁を受けた形である。表面的には彼は勝った(公布);現実には彼は敗北した(停止)。ジュルナル・ド・ディモンシュ(訳者注 日曜発行の新聞)紙上で、首相は、UMPと国民議会および元老院のそれぞれの代表に「組合組織との協議ののち、法案を提出」しなおす意向であると認めている。5月始めにUMPの『巣(niche)』において可決されるはずのこの法案は、国務院とさらには閣議に従う必要がないためより柔軟であるという利点を有する。けれど、3月に可決したものを解消することで、UMP議員は、滑稽と呼ばれる危険をおかしてまで、トンマ(Gribouille;不都合を避けようとして逆にひどい事態を招く人)な仕事にかかることになる。
このように、ここまで混乱したこの映画に当惑されたオピニオンの視線のもとで、- 第5共和国としては始めての –政権から多勢政党のためへの、ド・ヴィルパン氏からサルコジ氏のための、 権力移行に立ち会うこととなる。前者は強硬さを明示し、後者は - 『関係解消』の名歌手であるのだが- CPEを埋葬するためのコンプロマイズを見出す任につく。
大統領選挙を一年後に控え、このアブダカダブランテスクな政治エピソードはジャック・シラクの弱さをさらに強調する。フランス共和国大統領は、憲法に裏付けられた権力に関しては、ヨーロッパで最も力のある政治責任者である。ところが、推定上の後継者たちの敵対関係のままに板ばさみになり、避ける術も知らなかった危機からの脱出のためには、一時しのぎの解決法をブリコーラジュせねばならない。災厄なるかな、統治の最後!
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訳注:アブラカダブランテスクという単語はありません。ジャック・シラク氏の造語です。わけ分からん、という意味でしょう。
アブラカダブランテスク>この言葉はシラクが以前にも使い、その時にランボーがすでに使用していることが指摘されていたはず。アブラカダブラは確かカバリスクから来ているはずですよ。
投稿情報: 天神茄子 | 2006-04-07 15:43
数年前にシラクが使ったのは覚えていました。ランボーだったんですね。
参考→http://www.liberation.fr/page.php?Article=300420
投稿情報: 猫屋 | 2006-04-08 03:01