この事件については日本でも報道(asahi)され、Media@francophonie さんのところでリベラシオンの関連記事が日本語で読めます。
“国境のないムージャイディン”による一ヶ月間の拘束から開放されたばかりのイタリアン・ジャーナリストのジュリアナ・スグレナを乗せた車がバグダッド空港付近で米軍車からの狙撃を受けたのは金曜日の3月4日、事件当初は情報が混乱したこともあり、また米国大統領の遺憾声明にもかかわらず、イタリアばかりでなくここフランスでも米国軍に対する非難の声が高まってきてる。
6日のル・モンドの記事を見てみよう。米国側の発表では、米軍チェックポイントに急スピードでやってくる車に威嚇射撃のあと狙撃したとあったが、元人質ジュリアナ・スグレナは、車のスピードはごく普通のもの、また狙撃はパトロール中の米軍車からだったと証言している。運転手も車の速度は40から50キロだったと言っている。肩に弾丸を受けたジュリアナの証言によると、情報機関員ニコラ・カリパリ/Nicola Calipari は銃弾の雨からジュリアナをかばうために自分の身体をたてにし、そのまま息を引きとったという。ジュリアナは、イタリア政府が要求された身代金を支払うことを嫌う米国が計画的に彼女を狙ったのではないかとの疑問をSKYラジオに語っている。
ラジオやTVでのニュースを総合してみると、死亡したカリパリは空港から700メートルの場所で狙撃された問題の車に乗っていた3人の特殊部隊のチーフで、先日のイタリアン女性ONG 2人組みシモーネ&シモーネ の開放にあたったのもこの人だった。イタリアチャーター機が待つ空港近くまでやってきていることを考えると、イタリア情報部からバグダッド米軍に同車の通行に関する連絡がなかったとは考えにくい。バグダッドに送られてくる未経験の若い米国兵士が恐怖に駆られて狙撃したのではないかといった論説もある。イラクでの誤爆によるイラク人負傷者には1000ドル、死者に対しては2500ドルの封筒が、訴訟を断念した家族に対して用意されていると昨年春のNYタイムスによって報じられているそうだ。
米国サイドはこの事件の調査に本腰を入れると発表しているが、もともとイラク攻撃に国民の過半数が反対していたイタリア国内でベルルスコーニ首相に対する責任追及と、イラクからの撤兵(3000人)を望む声は高まるばかりだ。それは、リベラシオンの女性記者とその通訳が人質となって8週間をすぎるフランスでもおおきな関心を呼んでいる。(←media@francophonie さん関連記事)
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