« 漫然とクリップしたる一周忌、ああサルコ | メイン | Hiroshima 写真関連ル・モンド2記事翻訳 »

2008-05-09

コメント

kmiura

ちょっと見たことがないぐらい凄絶な写真だと思いました。たしかに議論を沸き起こすだろうな、と思う。

猫屋

まさにそうなんですが、この画像が現在の政治的な意図とは別に“読まれる”ことを期待します。
私は、これらの写真を撮影した人のことを(近隣の住民であろうが、あるいは一米兵であろうが)、極めて個人的にですが、考えていました。

Ku-

友人にルモンドの記事について教えてもらい、日本語サイトでこの写真公開について扱っているものを探したら、ここにたどりつきました。5月3日に公開されているというのに、未だに、日本のメディアはこの写真のことをまったく扱っていません。私にとっては、これもまた考えさせる出来事になっています。

夜明けは来ない?

戦後に生まれ、幼少時の思い出として『敗戦後』の日本を覚えている人間として、見過ごせない記事でした。摩訶不思議なほどすんなりと広島の爆弾投下の惨状は忘却の彼方に追いやられ今にいたっています。Auschwitz à Ciel ouvert とおっしゃっているように人類にとって悲惨な行為が行なわれたのにも関わらずアウシュビツ程メディアの対象になっていません。アジアの国だからか、ロビーイングの不在のせいか、日本人自身の自己規制心のせいか。。。納得がゆきません。 

この写真を撮った日本人はもしかして米兵に処分されたのではないかなんて考えてしまいます。惨事の写真はどう見ても辛いものですが(パレスチナでもイスラエルでも)、これは日本の写真、私の国で実際に起きたことなのです。この世のあり方に一考を投げかける機会になればと思いました。

猫屋

これらの写真が今になって公開された政治的事情は、ひとまず横に置いておいても、広島・長崎で起こったことは、日本で“現実に”起こったことです。それは何世紀も昔ではない。

誰が核兵器を落下させたかは、最も重要な点ではないと考えます。裸の歴史に向き合えないならば、未来に対峙することも出来ないだろうと個人的には思っています。

パリに来た26歳の若いお嬢さんがいました。子守をしながらダンスやらスポーツに励む健康優良児が、ある夏故郷に帰って、そのまま広島の原爆病院で亡くなった。白血病です。被爆したのは祖母・祖父だったと聞きました。

これらの写真についての日本での無反応を、日本在住記者フィリップ・ポンスが記事内で言及しています。これから全文訳してみます。

私に出来ることはこのぐらいしかない。偶然に、自分はまだ生きているわけで、死んだ人たちを供養するのは、なんだろう、ヒューマニズムと名づけられる以前の、人間のルーツなんだろうと思います。

cu39

現時点での http://faculty.ucmerced.edu/smalloy/atomic_tragedy/photos.html には以下のように書かれています。

"Since making these photographs publicly available, I have received reliable proof that at least two of these photos are actually of the 1923 Kanto earthquake. While I cannot speak for the entire collection, this evidence raises doubts about all of the photos and raises the strong possibility that the identification provided by the Hoover Archives is incorrect."

原爆投下による被害が悲惨なものであったことは間違いないでしょうが、
現時点で件の写真と結びつけることには慎重になったほうがよさそうです。
Jauvertさんのブログ記事も12日に書き換わっているようです。
http://globe.blogs.nouvelobs.com/archive/2008/05/09/les-dix-photos-cachees-d-hiroshima.html

猫屋

cu39氏、
ご指摘ありがとうございます。翻訳に気をとられていて、リンク先読んでおりませんでした。

10枚中の少なくとも2枚の写真が関東大震災時のものだったことから、マロイ氏はホーヴァー・インスティチュートの資料出典未確認を問題視しているわけですね(これは別問題ですが、この説明もすんなり飲み込めない気もします。)

こちらに分かるだけの経過は、別記事としてアップし、ル・モンドでのフォローがあればそれも紹介するつもりです。

日本で使用された原爆に関する報道が極めて限られている事実があり、ふたたび敏感になっている核への意識もあり、(すばやくかつ国境のない)ネット時代の報道の不確かさがあって、これはなんとも難しいです。

10枚の写真は Picasa2 アルバムで全世界に公開されています。

私は別のルートから、10枚の写真を入手(DownLoad)しました。
Googleが提供しているストレージ サービスに Picasa2 と言うサービスがあります。(1GBまで無料で使える) 世界中の人が写真を掲載しています。(私も花の写真を掲載しています)
http://picasaweb.google.co.jp/zeinobia/HiroshimaAsNeverSeenBefore
にアクセスすれば、この10枚の写真がDownLoadできます。 写真は2008/06/01に公開されています。DownLoadは自由ですが、DownLoad後のあつかいについては、GoogleのPicasa2利用規約に縛られますので、ご注意下さい。
また
http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Victim_of_Atomic_Bomb_of_Nagasaki_01.jpg
にも凄惨な写真が掲示されていますね。
これもPicasa2で見つけました。 
 本日たまたま、「Atomic Bomb Hiroshima」でイメージ検索して見つけました。
まだまだ、多数のアルバムが公開されていますので、克明に見ていけば、別のものが見つかるかもしれません。 
 なお私は、原爆について特別調査しているわけではありません。Picasa2のユーザで、敗戦記念日も近いことから、何気なく「Atomic Bomb Hiroshima」で検索して見つけただけです。
何かのご参考になればと思い投稿しました。

猫屋

情報ありがとうございました。
結局のところ、ル・モンドに掲載された写真は東京大震災時のものだったようですが、写真があろうとなかろうと、惨事自体はあったわけです。

関係ない話ですが、家にたまっていたカセット・ヴィデオを大幅に処分しました。テクノロジーが進んで、情報を保存するはずのハードの方がすぐに使えなくなり、情報自体の再生できなくなる、という不思議な時代になりました。しかし、重要な、あるいは“隠蔽”の目的になるような記録は、残されるべきだし、多くの人々にアクセス可能であるべきですよね。

やはり関東大震災の写真。2枚の写真の持ち主とコンタクト。

cu39氏のコメントに、「10枚中の少なくとも2枚の写真が関東大震災時のものだったことから」と書いてありますが、この2枚の写真の持ち主を見つけました。
そして、8/15、その方にメールでコンタクトを取り、ご返事をいただきました。頂いたご返事の一部を転載します。
|-------------------------------
私のサイトにある「関東大地震の写真」に関して、パリ在住の日本人フリージャーナリストのKKさんという方に引き続いて朝日新聞、編集局記者のTIさんという方々から突然メールを頂きました。
趣旨は、「フランスの有名新聞、ルモンドに「広島原爆の惨状未公開写真」として10枚の写真が公開されたが、これらは私のサイトの「震災写真」に酷似しており少なくとも二枚は同じものである…」などと書かれ、私の親父が撮ったものか、または出版社名など、写真の入手経路を聞いてきました。
<中略>
ルモンドは訂正記事を出したとの事ですが、犯人である本家本元のフーバー研究所の方はダンマリを決め込んでいるそうです。
-------------------------------
この方ののホームページは、
http://www.toshima.ne.jp/~esashi/shockphot.htm
で、問題の写真2枚を含む震災の写真が掲載されています。2003/8に掲載したことがわかります。
メールアドレスもホームページに出ていますので、コンタクトの必要があれば、そちらからコンタクトして下さい。
日本のメディア(少なくとも朝日新聞)は動いたようですね。
 以上ご参考まで。

猫屋

フィリップ・ポンス氏の別記事→“Hiroshima” 写真の疑惑;ル・モンド記事翻訳:http://neshiki.typepad.jp/nekoyanagi/2008/05/hiroshima-edea.html
で、ポンス氏が写真掲載の経過を記しています。

ル・モンド紙の「誤報」に対しては読者からの批判もかなり多かったし、また日本からの指摘もあったようです。これら写真をル・モンド以前にイタリアのレパブリカがすでに掲載していた模様です。

原爆に関する“情報”流通は、かえって米国で一番少ないのかも知れません。

この記事へのコメントは終了しました。