アリゾナでも、ナイジェリアでも、アルジェリアでもチュニジアでも、かなりむごいことになっている。
根底には、今まで流通していた資金がストップしたことと、背後にあった“列強”のパワーバランスが変容し、同時にそれぞれの国家も財源が縮小して対応できなくなったんだろう。おまけに、多くの若者が失業に閉じ込められ、今度は急激な物価高がのしかかった。
ましてや、メディアの入っていない国々(北朝鮮・イラン・中国・南米小国etc. )で何が起こっているかは分かりようもない。21世紀に若い人間であるということは、かなりシンドイはずだと、簡単に想像できる。
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“若い”と言うことは、同時に馬鹿だということだ。計算ができない。言い換えれば“白痴”の主人公のように無垢で理想主義者でいられるということだ。考える前に走り出すことができる。走りはじめてから考えることができる。経験がないから、怖さも知らない。3日にいっぺんは恋に落ちる。そういうもんだ。
で、今夜書くのはアタクシ自身の話ではなく、このブログでも紹介したアタクシの若い友人たちとそのまた友人たちの近況であります。彼らがフランスの、あるいは世界の未来を創りあげる(/あるいは破壊する)のかも知れない。
2008年にバカロレアをクリアしたM君(マンガオタクの剣道2段)は、大学で2年経済学を学び、昨年パリ・ドーフィンにトランスファー、今は金融工学を勉強中。でも金融系数学がつまんなくて、再度大学を変えるべく大学の授業と平行に私立予備校で“恐怖の特訓”を受けている。目標は、英・ヨーロッパでナンバーワンなビジネススクールHECだそう。ふーん。まあ、ハーヴァードより学費が比較にならないほど安いからがんばってね(なおM君のガールフレンドはカナダの田舎街に一年の留学中)。
高校でM君と同じ経済社会系クラスだったビートルマニアは、英国北の田舎町に留学中。現地の学生に「お前の英語はリバプール訛りじゃん」といわれ感動している。なにしろ彼はビートルズ・マニアだから当然か。。おまけに(関係ないけど)赤毛だし。ただ話を聞いてると、講義のほうはテキトウにかわし(親元では御法度だった)ヴィデオ・ゲームとパブ通いに励んでいるようだ。今夜は彼が家に遊びに来て、The Rutles というモンティーパイソン系ビートルズ・パロディDVDを見てみんなで大笑いした。
貧乏領土なし貴族系のA君はボルドーのシオンス・ポで勉強した後、理由は知らないがインドの地方都市に2年の留学中。クリスマス休暇はヒマラヤ近くまで延々と列車に乗って出かけたらしい。当然激しい下痢に苦しんだそうだがstill alive. 「兄弟たちよ、愛してる」という意味不明の手紙が届いた。
弁護士の息子で、やっぱり弁護士を目指すアドリアン君は、仏版六法全書と過去の判例暗記、および筋トレに励んでいる。
同じ高校の理数系クラスの子達は、(ほぼ)着々とエリート王道を進んでいる。
自動車運転免許を取る前に16歳で軽飛行機免許取ったM2君は、小さい頃からの航空大学に入るという夢を断念;ガールフレンドができて簡単に方向転換したんだ。トゥールーズは遠いもんなあ。。。今はショセというグランゼコルで勉学中。
超オクテ、というかノンビリというか、おっとり型で反応速度がちょっと遅いG君はテレコムというギークなグランゼコルに入学した。寮で学友たちとロボット工学プログラミングに熱中している。彼の問題は、あまりにシャイだし学校の女のこ絶対数が少なく、ガール・フレンドが見つからないことらしい。
2年前、我らと一緒にスキーに行った身長190センチのヴァイオリニスト君は、2年にわたる備校での努力にも関わらず入試試験に失敗。キャレと呼ばれる準備校3年目で寮生活をしてる:浪人というやつですね。反面、準備校合同音楽同好会で、♀ヴァイオリニスト(生物学学徒)と遭遇=初めてのガールフレンドをゲット。イエス!
何回か、一緒に食事したり、お茶したりしてても、ちょっとこの子変わってるなと思ってたM3君(なにか質問すると、眼が暗くなり、後頭部のcpuがなにやらシャカシャカ起動するヒューマノロイド系)は、ヴェルサイユの全寮制私立受験準備校で2年を過ごし、そこでウォッカのイッキ飲みを覚え、医学生の彼女も見つけ、今はエコルノルマルで数学を勉学中。彼は腕だめしにポリテクも受けて合格。でも、やりたいのは研究だもん、とエコルノルマルに入り、あそこのコンセプチュアルな寮で遊んでる(数学の講義はつまんないから出ず、ただいまプログラミングに潜行中)。彼も彼女がパリにいるんで、留学の予定なしだそうだ(学費タダでハーヴァードとか東大とか行けるはずなんだけどねえ)。
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というわけでオマイラ、お気楽・能天気が何時まで続くのか知らんが、せいぜい今のうちに遊んでおけ。腹が減ったら飯も作ってやるし、たまには遊びに来い。待っとるぞ。