今日のエジプト全国で繰り広げられた目標100万人デモは、エジプト保安当局によれば見事100万人を越える人が参加した。“対抗派”は参加者800万という数字を出してます。
なお、UNの発表によると、これまで一週間の蜂起での死者は300人。
日が暮れる前のカイロのTharir広場での集会を、アルジャジーラのLive で見てましたが、ありゃ、メッカの巡礼祭りのグルグル回ってないやつ、というかあるいは野外ロック・フェス。 ま、要するにでかい祭りだ。
もちろんアレキサンドリアやスエズでもかなりの人が集まったようだが、それ以外の小都市でも多くの群集が、というより、国中の人がおもてに出た、という雰囲気であるね。参考:Egypt Protests - Tweets Mapped
現地の仏人がル・モンドに送ったメッセージには「街に警官の姿は見えないが、要点に待機する兵士たちは、民衆と話し合ったり子供たちと遊んだり、かなりリラックスしていた」とある。また、日が暮れたTharir広場から歩いて家に帰る人々はウム・クルムースや、アブデル・ハリム・ハフェズ の歌を歌い、踊っていたそうだ。
広場に残って野営する人々も多く、「ムバラクが退陣するまでここから動かない」と答えている。
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昨日の記事でも書いた米元外交官フランク・ウィスナーはムバラクと会談したようだ。オバマからのメッセージは9月の大統領選には出馬しないこと。政治改革を行うこと(とメディアは伝えている)。参考NYT:Obama Urges Mubarak Not to Run Again
米国共和党議員のLindsey Grahamは「エジプト軍はイスラム原理派が政権に就くのを許さないだろう。米国はエジプト軍を支持することを恥じてはいけない」と発言(???)
なお、右の図は米フォックス・ニュースの中近東地図。これは間違い探しクイズです(ホントあいつらXXだよな)。
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左は、100ドルを越えたロンドン・ブレント原油価格のグラフ。
スエズ運河の封鎖が心配されたが、実際にはスエズ運河(193km)および平行して設置されているパイプラインを使って運ばれる原油の量(日量240万バレル)は世界総原油輸送量全体に比べれば限られており、ホルムズ海峡を通る原油量(日あたり1700万バレル)を大きく下回る。
また、近年イラクでの原油生産も大きく改善されて世界原油ストックは充分にあり、また世界経済減速の結果、現在の原油供給量は需要量を上回っている。またOPECも、エジプト紛争を考慮し生産量を増やすと発表した。
だが一番の懸念は、チュニジアからエジプトへと広がった市民蜂起のツナミが他のアラブおよびイスラム諸国に及び、そのアフリカ・アラブ石油産出国の政治不安を背景に、先進国の中央銀行が行う低金利政策(金利約1パーセント)で民間投資銀行が借り入れたキャッシュが原油への投機に流れ(2008年の原油価格ピークがそうだった)、原油価格沸騰をまねくことだろう。
付け加えれば、抗議運動が広がるヨルダンでも、国王は新首相を任命した。Jordanie : le roi nomme un nouveau premier ministre
シリアでもfacebook で反政府運動への呼びかけが始まったようだ。Syrie : un appel à manifester lancé sur Facebook
ガーディアンによれば、イエメンでも抗議行動に対し政府は回答を迫られている、とある。
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さて、もいちど地上に戻りエジプトのようすです。一週間を越す騒動で日常品・食料品・石油などがかなり不足している。空いてる商店で2時間並んで商品を買った仏人の話も読みました。システム・ダウンのせいでキャッシュカードが使えないから、支払いはキャッシュのみ。だがATMも現金が空のようで使えないそうだ。
ムバラクの健康状態を考えると、9月の選挙戦まで大統領職を続けるのは無理だろうし、ワシントンは実際にはムバラク退陣を進めたいはずだ(エル・バラダイはムバラク即時退職を要求している)。今日予定されていた大統領TV演説もまだ放送された様子がない。
イスラエルは沈黙している。今日テルアビブのエジプト大使館前では、200人からのアラブ系イスラエル人がデモったようだ。スローガンは「ムバラク、イスラエルとアメリカに買われた男」だそうだ。
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参考:ガーディアン紙 Egypt protests - live updates ← 今読み返したら、アレキサンドリアで2グループ間の銃を使った抗争があった、とある。また、ホワイトハウスでオバマがエジプトについてのステートメントをTVライヴでするそうだ。
アルジャジーラ Live blog Egypt protests ライブ画像は当ブログ左のリストにあるアルジャジーラを参照ください。
ちょっと、アルジャジーラとTVニュース局(フランスには2局ある)チェックする。また続き書くかも。
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追記
アタクシがパタパタブログ叩いてる間にムバラクはTV演説していた。内容は「いかなることがあっても、エジプト国家のため、9月までの大統領任期を務め、平和な政権交代を実現させる。」
参考:Mubarak to stay on till election
この放送の後、Tharir 広場に野営していた大衆は激怒。なお、今日の集会はカイロのみで100万人が集まったらしい。
なお、上に書いたアレキサンドリアでの抗争は、反政府派とムバラク派の間で起こったもので、銃声は(軍か?)上空をめがけて撃たれたらしい。←アルジャジーラがヴィデオを流してた。
ムバラクは、副大統領Omar Suleimane に大統領職を任せた場合、(元情報局長に対する)国民の怒りが爆発することを恐れ、9月までの任期を続けるのではないか、とは仏エジプト専門家の話。
チュニジアでは最後TV演説のすぐ後でベン・アリはチュニジア脱出している。TVがラスト・チャンスだったが、それが失敗したことを理解して、行き先も決まらないまま大統領機に乗った。
オバマ米大統領のTVステートメントがある。さて、どうなるのか。。。
追記の追記:
で、オバマの短いスピーチ聞いた:「ムバラク大統領とはTV演説のあと直接話した。彼は、現状維持は続かないし変革が必要だと言った。。。エジプト国民のみがエジプトのリーダーを選ぶことができる。。私はエジプト軍に対して、変革(チェンジ)が平和に進むための努 力続行を激励(urge)する。。。エジプトの青年たちへのメッセージは、偉大な歴史を持つエジプトの誇りを忘れないで欲しい、ということだ。」 以下は一部抜粋
"What is clear ... is my belief that an orderly transition must be meaningful, it must be peaceful, and the change must begin now."
と、オバマのスピーチ後のワシントン記者解説真っ最中、アルジャジーラLive Steam は切れたのだった。。。??
でもって、今夜の猫屋エジプト速報もここでおしまい。
と思ったら追加の追加の追加
今夜のアラブ語twitter でのジョーク:اثنين محششين بمصر واحد يسأل الثاني اذا انتصرنا عالحكومة وفزنا عليهم حيحصل إيه ؟ رد عليه الثاني : حنلعب مع تونس عالنهائي エジプトでふたりの男がハシシを吸いながら会話してた。一人が「もしも政府に勝ったらどうする?」と聞くともう一人は「もちろん次は対チュニジア決勝戦だよ」と答えた(猫:あはは。このジョークは悪くない)。 Life goes on.
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