実際のタイトルは Bush à la manouvre、『ブッシュ操作台へ』みたいな意味なんだが、ちょっと訳しにくい言葉です。11月9日ル・モンドから、訳してみます。
ブッシュの操縦
11月7日火曜の中間選挙後、共和党敗北がコーラテラル被害者を出すまでには24時間もかからなかった。一週間前には辞任の可能性を否認していたにもかかわらず、ブッシュ大統領は即座にドナルド・ラムズフェルド国防長官辞任を発表した。この一週間の間に選挙があった。こういった状況の常だが、ホワイトハウスの長は“21世紀最初のテロルに対する戦争”を先導した人物を称賛の言葉でおおってはいるが、同時に、元CIA長官のロバート・ゲーツ新国防長官指名に、イラク政策の“新しい視点と新しいパーズペクティヴ”を期待する、と隠すことなく語った。
ラムズフェルド氏を遠ざけることで、ジョージ・W・ブッシュは、下院選挙に勝利した民主党とのコラボレーションへの障害を除去できる。外交政策方針に関して大きな権力を持つ上院での - のちに共和党はここでも過半数を割る結果になるのだが - 選挙結果を待たずこの決定はなされた。
友人である副大統領ディック・チェイニーと同じく、みずからタカ派であることを公言するペンタゴンのチーフ(ラムズフェルト長官)は、ありとあらゆる批判の的となった。イラク攻撃開始当時は戦争反対者から、軍指導者たちからは任務に必要である充分な武力を与えなかったと、またネオコンからは攻撃と戦後処理における準備不足の責任者と見なされた。
大統領はストラテジーがまずかったとはいまだ認めていない。基本方針に忠実であり続けると主張し、イラクでの敗北という考えを拒否する。だが戦術を変えようと望んでいる。ライバルである民主党勝利を教訓とし、イラクをカオス状態に陥れることなく、“boys”(原文ママ)を引き上げさせるための出口を模索している。この任務は困難なものだろう、それゆえにその責任を下院の民主党と分かつことを望んでいる。ジェイムス・ベイカーとリー・ハミルトンを共同議長とする超党派コミッションの提案が何らかの道を示しうるかもしれない。
ブッシュ氏は1960-1970年のベトナム戦争との比較すべてを拒んでいる。それは同盟者を昨日の敵の目前に残して立ち去った、恥ずべき撤退という悪夢を、アメリカの政治家達に刻み込んだ。一点の相違がある:米国が放棄するかもしれない国は敵対国の餌食とはならない、しかし市民戦争の犠牲となりうる。この国はテロリストの訓練場をなし、隣国たちにとって、さらには米国自体の安全にとって脅威となるだろう。これはまさしく、サダム・フセイン打倒から帰結する危険性として見なされていたことだ。
ロナルド・ラムズフェルドと同じように、ロバート・ゲーツにイラク戦争を勝利することは出来ない。彼の任務とは、大統領の名声を守るために、この戦争に屈辱的な形で負けることを避けることにある。
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翻訳後記 今回の米国中間選挙をめぐって日本の新聞がどんな社説を書いているのか興味があり久しぶりにいくつかの新聞を覗いてみた:日経・朝日・毎日+毎日・読売・サンケイ、、、しかしイカンセン、なんともヌルイ。で、ル・モンド版を訳してみました。
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