タハリール広場では数千の人々が夜を明かしたようです。アンチ・ムバラク派は空になった広場を、プロ・ムバラク派あるいは軍が占拠するのを恐れている。昨夜おそくアンチ・ムバラク派は政府に対する要求リストを公開した。以下は英文のリストの抜粋(ガーディアン)。ムバラク、およびオバマ政権が考えているスリマン新副大統領による暫定政権の撤退を要求している。
• The resignation of the entire ruling party, including the new vice-president Omar Suleiman, whom the Obama administration believes is best placed to oversee a transition of power.
• A broad-based transitional government appointed by a 14-strong committee, made up of senior judges, youth leaders and members of the military.
• The election of a founding council of 40 public intellectuals and constitutional experts, who will draw up a new constitution under the supervision of the transitional government, then put it to the people in a referendum. Fresh elections would then be held at a local and national level.
• The end of the country's emergency law.
• The dismantling of the state security apparatus.
• The trial of key regime leaders, including Mubarak.
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ガザに近いエジプト領土であるシナイで、イスラエルに天然ガスを供給するパイプラインが爆破された。公式発表によれば、被害は大きくないが、安全確保のため天然ガス供給はストップされた。
カイロオフィスを破壊され編集長も逮捕されたアルジャジーラ英語版は現地からのライヴ映像に代えて、米国向けキャンペーン(アルジェジーラUS開設)を進めている。
ガーディアン・ライヴ:Egypt protests - Saturday 5 February
アルジャジーラ英語版:Al Jazeera English: Live Stream
アルジャジーラ・エジプトページ:The BATTLE for Egypt
なお右の写真は最初twitter に貼られたのをネットで見つけて拾ってきた。タハリール広場イスラム教徒たちが祈祷する間、周辺で防衛するキリスト教徒だそうです。
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週末なんでル・モンドはあんまりあてにできない。コラムニスト、ロベール・ソレの記事:En Egypte, la transition a commencé
NYTによると、エジプト新政府は、ムバラク大統領のシャルム・エル・シェックの別亭への移動、あるいは定期的医療チェックアップのためドイツに向かう、などの脱出案を模索中とある(ブラフ?アドバルーン?):Egypt Officials Seek to Nudge Mubarak Out
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GMT13時45分:ガーディアンの情報では、軍装甲車がバリケード近くに接近、タハリール広場にシット・インしている抗議派に対し、軍代表が解散するよう警告したが民衆は激しく反対。
また読者からのメールでthe Hisham Mubarak Legal Aid Centre/人権リーグセンターで、憲兵(秘密警察)が8人のスタッフ(4月6日運動参加者)を「イランとハマスのスパイ」容疑で連打の上、憲兵のバスに連行した、と連絡している。
BBC midle east ではライヴ・ヴィデオの左で、twitter で送られてくるタハリーリ広場からの情報を直接流している。←ライヴ・映像は今(GMT14時03分)突然一時中断。ヒラリー・クリントンのスピーチの後、タハリール広場からの映像放送を流している途中だった。放送は2分後再開。。。左の速報では、エジプト国営放送は「エジプト全体が安定化された。カイロの警察所から内務大臣は、警察はオーダーと秩序を守る役割を果たしている」と放送した、と伝えている。右のライヴはロンドンからの映像にスイッチされた。すぐ下のエジプト・ライヴで時々だが、タハリール広場の映像をブロードキャストしてる。今は、再度クリントンのスピーチ。(猫:各外国報道メディアにもプレッシャーがかかっていると想像できる)
クリントン発言「米国は副大統領スリマン(米語風に読むとスレイマン)をバックアップし、秩序だった政権交代が進められるよう圧力をかけた(stressed)」←(猫:最悪の選択だ。スリマンはヒューマン・ワッチ・リーグのメンバーを強制連行したばっかりのエジプト秘密警察の親分だがね。これまで、イスラエルや米国CIAと直接交渉してきたのもこの人物。)
ガーディアンによると、現地時間15時に軍は広場横の臨時医療センター(モスク)を訪れ、センターの閉鎖を要求したが、多くの市民が抗議し、実行されなかった。
広場には再び多くの人々が集まっているが、包囲している軍が引き上げ、再びプロ・ムバラク派との衝突が起こることを危惧している。なお、「軍は抗議集団に対して発砲しない」という発表が今朝あった。
昨日金曜プロ・ムバラク派の活動が収まっていたのは、政府が日給を払わなかったためだとは、昨日twiter に流れていた声。
また昨日はエジプト大手テレコムのベダフォーンと仏オレンジの子会社に軍のトラックが送られ、ケイタイ網に「オーダーにしたがえ」等のSMSを流すよう強要されたと報道されていた。
BBC によると、エジプト中央銀行は各銀行業務とATM再開を公表。
アルジャージーラは今のところカイロ・ライヴを再開している。LiveCairo
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えっとですねえ、午後4時ごろからアタクシはすごいスピードで近所で買い物し、家中に掃除機をかけ、洗濯もし、夕飯作って(子牛のミラノ風、タリアテルの生クリームあえ、ブロッコリとトマト+チーズに白ワイン)食べた。夜8時のニュースではエジプト関係報道は短く、仏メディアも(つまり政府も)方向性が掴めていないのだと確認。
皿洗いする前にガーディアン等で分かったこと若干書きます。あとは夜中になってから書き加える。
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ヒラリー・クリントンは安全会議が行われているミュンヘンから「米国はスリマン副大統領をバック・アップし、秩序ある政権交代を後援する」といってたわけですが、カイロに送られ今週初めにムバラクと会見した米特使フランク・ウィスナー(猫:ニコラ・サルコジの父親の元奥さんの現在の夫)はニューヨークからミュンヘンへのヴィデオ・コンフェランスで「平和な政権交代を行うにはムバラク大統領が継続して職務を続行する必要があるだろう」と発言。
なお、国営放送はムバラクがNational Democratic party/党首から辞任とは発表←辞任説は後に否定され、息子のガマルを含めた数人の要人が党を離脱したと発表(なお、ガムラはすでにロンドンへと発ったという噂が流れていた)。
ガザ地区ののラファでキリスト教教会が爆破された。武装したグループの犯行と見られているが教会内には人はいず被害者なし、新年のミサ時にテロ行為によって23人の死者が出たアレキサンドリアの教会での事件との関連は不明(アレキサンドリアの教会は事件後ムスリム市民が教会護衛に当たっていた)。
アルジャジーラアラブ語版編集長はじめ逮捕されていた記者たちも釈放されたもよう。アムネスティ・インターナショナルはエジプト政府に対し、2日の間軍刑務所に拘束されていた人権リーグの人々とジャーナリストたちの逮捕監禁を、独立組織が調査するよう要求。
猫:TV映像では、タハリール広場のタンクの前に寝そべる抗議市民たちの姿が映されていた。相変わらず軍が状況を変える鍵を握っている証拠だろう(必ずしも米国政府ではない)。だが、その軍の態度も刻々変わる。エジプト政権内=軍内でももみ合いが続いているのだろう。
エジプト抗議派への支援は各国で広まっている。チキンな各国政府をチクチク下から圧力かけるのも各市民のできることだろう。
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ただいまGMP22時30分の追加事項。
この午後、ホワイト・ハウススポークスマンは定例記者会見にて本日の(上に書いた)フランク・ウィスナーの発言を「ウィスナー氏は個人としてカイロに行ったのであって、今日の発言も彼の個人的意見」とし、ウィスナーの意見を否定した。
今日の朝カイロでは産業関連閣僚会議が行われ、アフリカ産業の復興を急速に行う必要性が強調された。← 国営TV
タハリール広場周辺では焼けた車の残骸をクレーンが排除、一部バリケードを排除し、ブルドーザーが広場に入ろうとしたが抗議市民が止めている。政府は産業(猫:観光のこと?)復興には道路の整備が必要、と説明している。
リベの記者に、広場で一人の年長の男性が語っている:軍は実は警察と同じでプロ・ムバラクだ。おととい捕まえたプロ・ムバラクの壊し屋たちを軍に引き渡したんだが、軍はすぐ解放したよ。
アルジャジーラの記者によると、アレキサンドリアでも(プロ・ムバラクも含め)運動は続いている。人々の状況理解と意見の活発さには驚くものがある。多くのひとびとが望んでいるのは、ムバラクの辞職と2議会の解散、それに憲法改正だ(ガーディアンより)。
ガーディアンはロイターののアナライズ記事の長い抜粋を載せている(よくできた文)。それによると、エジプト国民の多くは国営放送の嘘に飽き飽きし、衛星放送、特にカタールから流されるアルジャジーラを見ていた。だが、今はアルジャジーラをキャッチするのが大変難しくなっている。
ミュンヘンで、マケイン米共和党議員は「事態が長引けば長引くほど危険要因は増す」と語った。
エル・バラダイは「米国がムバラクあるいはスリマンを支持するのは単なる逆戻りだ。紛争が長引けばそれだけ抗議市民もラディカルになってくる。ムバラクはすぐさま辞任すべき」と発言。
雨が降り、気温の下がったカイロだが、広場にはまだまだ多くの市民が集まっている。けれど広場に入るには30分から2時間半軍のコントロールを受けるために待たなければならない(昨日は5分ですんだ)そうだ。。。
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今日は以上;ジョークはなし。
ブロガー3arabawy のタハリール広場写真ギャラリー:صَحـَـفي مِصـْـري
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さて、チュニジアの話題です。たまたまエジプト動乱に絡んで、他のイスラム圏の人々にインタヴューするというラジオ番組を聞いた。チュニスで小さな工場を持つという男性が答えていた:エジプトで起こっていることは注意深く見守っている。チュニジアの革命がうまく行ったことを誇りに思う。不可能と長い間信じ込んでいたことも現実化する。同じことがエジプトでも起きるよう祈っている。
チュニジアでは、ガンヌーシ首相のもとベン・アリ政権外だった人々が暫定政府を形成、革命時の死者の家族と負傷者には国から手当てが支払われた。エジプトがどちらに向かうかで、チュニジアもだが、他の多くの国の将来は大きく変わってくるだろう。
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これは夜遅くなってからアップされたガーディアンのタハリール広場の抗議市民たちへのインタヴュー記事です。
Mubarak is still here, but there's been a revolution in our minds, say protesters
「ムバラクは今でも居残っているが、革命は我々の心の中で起こった、とプロテスターたちは言う」
一部抜粋
Ahmed Mora, a biochemistry university lecturer, came to the protests late but said he, too, would see them through. "It's time. I know there are people who are afraid. There are people who are afraid of chaos. There are people who are afraid of the Muslim Brotherhood. Many of those people are not pro-Mubarak, they are pro-stability," he said. "But we cannot be afraid to free ourselves. I'm 30 years old and I've never voted in an election because they were always corrupt and fake. We are going to stay until he goes."
アフメド・モラ、生物化学の大学講師は、遅くなってから抗議に参加し、彼も(人々の変化に)気がついたと言う:「その時が来たんだ。恐がっている人々がいるのは知っている。カオスを恐がっている人もいる。ムスリム同胞団を恐れてる人もいる。それらの人々の多くはプロ・ムバラクではなく、単にプロ・安定化なのだ。けれど我々は我々自身が自由になることを恐れることはできない。私は30歳だが、いままで一度も選挙で投票したことがない;すべての政治家が腐敗した単なるニセモノでしかないからだ。われわれは彼(ムバラク)が去るまで広場に留まる。」
猫屋:政治の真髄はどうやって民衆の恐怖をコントロールするかだ、という考えがあります。これは政治ばかりではない。ものの売り方も同じだ:この車に乗らなければ尊敬されませんよ。この薬を飲まないとナントカ病にかかります。このゲームを持ってないとクラスで馬鹿にされます。このハンドバッグじゃなきゃトレンドじゃないよetc.
同時に政治やマーケティングは、人々をそれぞれの階級やさらには個々の個人世界に引き込ませる。
これはここに貼らなかったけど、タハリール広場にやって来てクリストルに答えた80歳のフェミニストが言ってた:私は今生まれ変わったと感じます。革命は素晴らしい。ここには一般市民のすべてがいる。。。ご覧なさい、ここにいる多くの女性は、ベールやニハーブの女性たちは、始めて家から出てきたのよ。。。
そう、革命とはそういうことだ。
NYTコラムニストたちのタハリール広場でのヴィデオ:Turmoil in the Middle East ←前にあげたクリストルのコラムはこれらインタヴューから書かれたわけ。
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