今日のガーディアン live updates にはday of departure という副タイトルがついてる。まだ全部読んでないけど、リンク先も含め、よく構成されてる。米国のカヴァーは中東状況を理解しているコラムニスト、たとえばNYTのニコラス・クリストフの書くものは信頼できるけど、記者たちとメディア全体の地域理解度に限界がある(遠いしね)。カイロからのクリストフ記事:We Are All Egyptians
というわけで今日もガーディアンとル・モンドの速報を追ってる。
ガーディアンEgypt protests – day of departure live updates
ル・モンド Les manifestants veulent faire de ce vendredi "la journée du départ"
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簡単に昨日のレジュメ
TVでシャフィク首相が記者を集めて会見を行う;これまでの犠牲に対して謝罪。混乱の原因を突き止め、その原因を取り除く。(この時、記者団に通常は用意されてた椅子がなく、これは政府の立場をよく表わしていた、と書いている)
同時に国営放送は「外国人ジャーナリストが今回の紛争を引き起こした。」と繰り返し報道。「ジャーナリストはイスラエルのスパイだ」という噂も流れる。
現地で取材するほとんどの報道チームが機材破壊、暴行を受け、逮捕されたものも多い(大概は数時間の尋問のあと解放されている)。参考:Why I Was Dragged Through the Street by an Egyptian Mob
ガソリン価格上昇を取材しようとナイル川対岸のDokki に行ったDairy Newe Egypt 取材班はエジプト人だが50人ほどの人々(中産階級)に囲まれ危害を受けそうになった。「我々はエジプト人だ」と言うと、「お前のエジプトは我々のエジプトとはちがう」と返答されている。通りかかったタクシーで近くの軍が駐在するチェック・ポイントまで避難した。なおプロ・ムバラクに近いアル・アラビアの記者も襲われている。攻撃されたジャーナリストのリスト(ABC):
「ジャーナリスト=外国人=スパイ」という構図だ。
またタハリール広場に面した地区にある人権リーグ(刑務所内の人々への法律手続き援助をしている)やoxfaim系の社会援助団体の事務所も襲われ、逮捕者が出た(たしか8人)。Human Rights Watchのdaniel williamsも保安部隊によって逮捕されている(NYTによると8人から12人)。
逮捕されているのは外国パスポート保持者ばかりではなく、今回の蜂起を書き続けるブロガーの Sandmonky、ピラミッド近くにあるエルバラダイ邸に話し合いに行った数人の反政府運動家も近くのカフェにいるところを逮捕されている(数時間の暴力的尋問の後解放された)。
2009年4月6日運動に参加していた6人も逮捕されたとwired は伝えている。
プロ・ムバラク派が広場攻撃を組織するために、エジプトのケイタイ網を大きくカバーする英国企業ベダフォーンのSMSサーヴィスが使われた。ベダフォーンは批判に対して「政府の要求を呑まないと、エジプトでのネットと電話のライセンスを剥奪される」と答えている。
イギリス本国から、タハリール広場攻防に参加しようとする英国青年もいる。危険すぎるという声に対しては、ロンドンのデモに参加して危険には慣れてる、と答えている。
たしかに、フランスの年金法改正反対運動で、リヨンやトゥールーズで仏保安機動隊がやった戦術も同じだった。まずマッタリ抗議してる大衆を広場に集める。広場に通じる通りを閉鎖。私服の保安隊員をデモ隊に混じらせ、破壊行為をして挑発する。保安制服部隊は盾をマトラク(警棒)で叩き挑発。催涙ガス使用でパニックを引き起こすetc.
もちろんタハリール広場で起きていることはもっと規模が大きい。投げられるコンクリート塊はどんどん大きくなって、怪我の程度もひどくなる。病院として機能しているモスクには広場が閉鎖されているので充分な医薬品が足りなくなったという情報もある。プロ・ムバラク派(その多くが内務省勤務と記載されたIDカード所有)はQasr-El-Nil橋、あるいは近接建物の屋上からコンクリート等を投げている。
ガーディアン2月3日ライヴ・アップデイトEgypt protests - Thursday 3 February
エジプトのブロガーがアップした写真集:Galerie de photos de traveller.within
グーグルのエジプトでの(確認された)死者リスト:Killed in Egypt : Killed ←、投石による外傷で死亡しても、家族が「事故死」と書かれた死亡証明書にサインしないと、病院から遺体を引き取れないケースもあるそうだ。
なお、広場でキャンプしているアンチ派への食料や水は周辺の住人が届けているらしい。遠地からやってくる抗議派も多いようだ。
これは(ホントかな)、石投げ機作成風景ヴィデオ。
米abcのキャスターとのインタヴューで、ムバラク大統領は、62年にわたる国家内の仕事に疲れた。すぐにでも引退したいが、国を混乱に招く恐れがあり、7月の選挙まで政権交代の準備のため大統領職にとどまる、と語った。
息子のガマルも次期大統領候補にはならないと報道されている(すでにエジプトを発ったという話もある)。
政府が発表した2日と3日の死者数は13、負傷者数は1200。
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反政府運動が始まってから11日目の2月4日、タハリーリ広場には驚くほど(数千人を越える)大勢の人々が集まっている。チェックポイントではIDカードと持ち物の検査があり、プロ・ムバラク派はフィルタリングされているようだ。ありあわせの機材バリケードが広場へ通じる道にで作られている。軍は広場周辺を固め、プロ・ムバラク派が広場に入り衝突が起こるのを防いでいる。
今日起こっていることは、またあとで書きます。ひとまずアップ
GMP時間16時半の時点でのカイロ以外でのエジプト抗議動員数は、アレキサンドリアで数千、スエズで3万5千、Menouifiya で1万、Mahalla で2万、Assiouto が5000、ルクソールでも何万人かが参加と見られている(ル・モンド)。
カイロでの動員数は約20万人と推定されていますが、広場も周りを固めた軍の装甲車も多数の被害者が出た水曜・木曜に比べると多くなっており、これは軍がこの国をコントロールしている、というメッセージでもあるかと思います。
広場周辺では博物館と橋を中心としてプロ・ムバラク派が広場を取り囲む形で集まっているようですが、軍が広場侵入を抑えている。NYTは連日のアンチ派とプロ派の位置と衝突を図で示しています:The Battle for Tahrir Square
夕刻の仏TVカナル・プルスで在フランス・エジプト大使は、現大統領が退陣することはエジプト憲法に反する。9月の総選挙を待って政治改革は行われるべきだ、と発言。
今日のタハリーリ広場の集会は平穏なまま終わりました。しかし、ムバラク退職を望む国民の声は強く、またアンチ・ムバラク派への支援集会は中東ばかりでなく各国で繰り広げられた。
アルジャジーラ・英語版オフィス事務所は暴徒によってあらされ内部から火がつけられ、アラブ語スタッフも逮捕されたようです。他メディアの多くのジャーナリストも暴行にあい、多くの外国取材チームは広場ぞいのホテルから滞在を禁止されています。いまだ行方不明のジャーナリストもいるようです。なお、昨日広場で殺害された外国人の身元はまだわかっていません。
今日のタハリール広場の集会には、アロム・ムーサ・アラブ連盟事務局長も参加、発言していました。彼は次期大統領選に出馬するだろうと言われており、国民の支持も高い。
米国オバマ大統領は今日のスピーチで「即座の政権交代」をよびかけましたが、エジプトのリーダーはエジプト人が選ぶというメッセージは変わっていません(もちろんエジプト政府、とくに軍との連絡は続けているでしょう)。しかし、エジプト国民自体が米政府を信頼していない以上、米国始め外国勢力からのプレシャーは国民に逆の効果を招いてしまう恐れがある。
米国サイドでたびたび話が出てくる副大統領スリマンの暫定大統領就任説は、スリマンが秘密警察の長だった事実があり、国民の信頼を得ることは難しいと思えます。
また、ムスリム同胞団はムバラクが大統領職から去ることを条件として、政府との会話を再開すると発表しています。また次回大統領選挙には候補者はたてず、議会選挙で議員数を確保する方針。社会制度が進んでないエジプトでは、貧困者援助や医療援助、教育活動などにムスリム同胞団が大きく関わっている。今回タハリール広場のモスク緊急医療所にも、多くの同胞団の医師看護婦が医療活動を行っていた。
夜半のタハリール広場には、まだ数千の人々がおり(ガーディアン)、広場に隣接する橋上では衝突が起こっていたようです。軍の装甲車も立ち退いた模様。
なおエジプト蜂起におけるこれまでの犠牲者の数は国連によれば300人。
4日前、広場にちかい建物のバルコニーから衝突をカメラで撮影していたエジプト人ジャーナリストAhmed Mohammed Mahmoud (Al-Ahram社所属、36歳)はスナイパーに頭を撃たれ、この金曜に死亡。
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ガルディアン紙からアンチ投石ルック写真集:Egyptian protesters' makeshift helmets – in pictures
ボストン・グローヴはbigpicture でエジプト蜂起の一週間の高画像写真集を公開してます:The Bog Picture
今夜のジョーク(アラブ語twitter):エジプト大統領官邸で、侍従は「閣下、民衆が蜂起しております。飛行機で国外に脱出すべきでしょう」と進める。大統領はこう答える「ん?飛行機でエジプトを出て行くのは民衆だ」
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