まずは、何日か前に別の抜粋画像をクリップしましたが、2月16日の同一番組 Mots croisés から。ベルトロン労働相とダティ法相を前に、バイルーが宗教に関するサルコジ公式発言に対して、批判しています。
Bayrou, Sarkozy, l'instituteur, le curé et la chattemite
envoyé par buildfreedom
ここでのバイルーは、自分がカトリック信者であることを明言したうえで、仏国大統領は宗教問題に踏みこむべきではないと釘をさし、きわめてまともな話を正しくしてる。なおこの番組はCrifでの夕食会の翌日に生放送されたものです。
ただ、今夜注意していただきたいのは、冒頭でダティ法相が執拗に繰り返している、
というフレーズです。タブーもコンプレックスもない、というのがサルコジ新大統領のキャッチ・ワードですね。Il n'y a pas de sujet interdit au chef d'état.
大統領に禁止された主題はない。
*
さて、昨日パリで始まった農業フェア(Salon d'agriculture)に出向いたタブーのない大統領ニコラ・サルコジは、とんでもないギャフ(ドジ)をやらかした。“Casse-toi pauv(re) c** !” 事件であります。
解説いたします。農業フェアというのは、仏全土から農業・牧畜業者が一年に一度、パリはポルト・ド・ヴェルサイユのフェア会場に、牛やらヤギやらチーズやらワインやらをトラックいっぱいに載せてやってきて、田舎や自然や動物やうまい地方の食べ物になかなか触れるチャンスのないパリ市民と交流するという、年に一度の“お祭り”であります。
前期大統領シラクは、この農業フェアの大常連でありまして、毎年牝牛の尻をたたき、おどろくべき量のワインとチーズとソーシーソン(サラミ)を延々と飲み食いしておったですね。
シラクに対抗しようとしたのかどうかは分かりませんが、サルコジ新大統領も、このフェアの開幕日に、多数の警備要員とジャーナリストを従えて、会場に赴いた。
団子状態になった人ごみの間を、サルコジ大統領は笑顔で人民と握手しながら進んでいくんですが、途中一人の男性が“Ah non,touche-moi pas. Tu me salis ” といってサルコとのコンタクトを避けようとする。「やだよ。触らんでくれ、汚れる。」とでも訳しましょうか。。。対するサルコは、笑顔も崩さず“Casse-toi alors, Casse-toi, pauv(re) c**, va” つまり「消えやがれ、消えやがれ、このオ***野郎め」 と訳せないところを無理やり訳してみるとこうなる言葉をボソ。
この場面を撮影していたジャーナリストたち、現場ではこれら対応には気付かなかったが、画像・音声を再生してて見つけ、新聞パリジャンに問題画像を売却したようです。パリジャンは、それを編集・字幕入りでウェブに掲載した。
大手TVも日曜になってニュースで流している。個人ブログやル・モンドを初めとするプレスも次々とウェブに掲載、例外的読者コメント書き込み数を記録するという、なんとも国家的事件になっちゃった。
サルコジ・サポーターサイドは、サルコは屈辱的言いがかりに答えただけだ、とか対応してますが、サルコジの乗ってる車にヨーグルトの小パック投げて懲役4ヶ月執行猶予つきとか、"Sarkozy, va n... ta mère !" と罵倒して懲役1ヶ月とか、しっかり罰せられてる仏国民はいるわけだし、他方、大統領のお言葉としては何ともはや、、、、ああ馬鹿馬鹿しくも情けない。
この一件、ねブロでは扱わないつもりだったのですが、あまりの盛り上がりに、解説することにいたしました。冒頭映像のバイルーが、なんだかすごい聖人君子みたいに見えちゃいますね。
なお、いろんなサイトのコメント欄見てたら、たとえばドゴールは「すべてのc**に死を!」と叫ばれて「それは壮大な計画ですな。」 と答えたとか「C*nard!」と言われたシラクは「始めまして、私はジャック・シラクです」と対応したとか、いろいろ面白い話があった。まあ、たしかにrupture (断絶)ではありますなあ、、、
以上パリ現地からサルコ・ウォッチャー猫屋がお伝えしますた。(あーあ、気品をもって書き始めたエントリーがエンディングは吉本タッチ。ここって本当にフランスですかあ??? まずは書きかけの憲法委員会系記事に戻ります。)
参考:Le Parisien
Nicolas Sarkozy au Salon de l'agriculture: la vidéo polémique
いつも楽しく拝読させていただいてます。
関連と言えないほど中身の無い、短い雑文を書きましたが、
ハクをつけるために猫屋さんの記事にトラバさせていただきました。
c*の内容をちゃんと伝えてくれる人っていないかなぁ(自分がやれ!ですよね、スミマセン)
投稿情報: にゃつみかん | 2008-03-04 07:39
にゃつみかん氏、
TBこっちに到着してないみたいです。
あるいは、連日スパムTBが2ダースほど届くので、ブログ店主がまちがって他のと一緒にごみ箱にすてちゃのかも(可能性は15%ぐらい)。そうだったら、スンマセンです。
なお、次エントリーで仏共和国大統領の世界的に有名になったセリフ、一応訳しときましたので。CXXは“おXXX野郎”になってます。
ル・モンドで紹介された各国語への翻訳集も参考として貼っておきます。
"What does : "casse-toi pauvre con" mean in english ?"
http://www.lemonde.fr/archives/article/2008/03/01/what-does-casse-toi-pauvre-con-mean-in-english_1017716_0.html
投稿情報: 猫屋 | 2008-03-04 14:17
もう一度、TB試してみました。どうも私が何か手違いしていたのようですね。
お騒がせしました。
ご紹介の記事、面白いですねぇ。ありがとうございます。
ルモンドやっぱいいな、毎朝配達してくれないかな(w
投稿情報: にゃつみかん | 2008-03-05 12:53
にゃつみかん氏、
TB無事到着しました。ごくろうさま。
仏語先生のブログ拝見しました。うちとは違って格調高く扱っててさすがです。
東京に行ってたK夫人からさっき電話がはいったのですが、NHKでも該当ビデオ流して、サルコ大笑いの的だったと言ってた。文化と格調と反米の国だったはずなんですけどもねえ、困ったもんです。外国旅行の際、自分はスイス人だ、とかベルギー人だ、とかゴマカス仏人も多いそうな。。。
投稿情報: 猫屋 | 2008-03-05 13:27