天気のいい、極めて静かな日曜日でありました。朝寝ぼうのあとはバケットなど買いに行って窓際でゆっくり陽を浴びながら、サンシャイン・オンマイショルダー・メイクミ・ハピーな朝食。それから久しぶりにプールに出向いて泳いだ。体がなまってる、というか太った。いかんよ、これは。
午後、仏対イングランドのラグビー戦をTV観戦。六カ国(と言ってもアングロ・サクソンの国多すぎだが)対抗。いい試合だったが、、フランス負け。イングランドは強いなあ。見直した。以外に早いし、コンヴィクション(確信)がある。
夜に、シラクがTVで引退宣言。もろ好々爺。12年の大統領職で、結局のところこの人は話がうまくなった。政治的制約がなくなった時点で、ヒューマニストとなったと理解すべきか。(あとはサルコジの過去の裏切りに、どのような切り返しを入れるのか、入れないのか、が最後のアクトだよね。)
彼が気前のいい人間なのは、そうなんだが、実際の政治結果番付は限りなく0に近い。ところで今回は眼鏡なしでしたね。
この春に行われるフランス大統領選挙戦が、やっと面白くなってきた。“第3の男”フランソワ・バイルーへの支持率が急に上がってきたからだ。おまけに、一人勝ちかと思われたサルコジ支持が下がってる。わははは。
バイルーは右派だが政党はUDF、しかし、ほとんど社会党的論点で今回の選挙戦を進めている。結果、ロワイヤルが右すぎと批判する元社会党支持者と、サルコジのハイパー・アクティヴさに恐れをなした右派に支持されてるようだ。
1951年生まれのバイルーはもとフランス語教師で両親は農業の人。教師時代、実家で馬の飼育を手がけていた。右派政権内で教育相を経験している。6児の父。あくまで田舎にこだわる。パリ人でもないしブルジョワでもないしエリートでもない、ってのが共感を呼ぶのだろう。
一年ほど前に、下町で住民に囲まれてインタヴュー中、そこいらの子供(つか、ガキ)が、バイルーの上着のポケットに手を入れてなにやら盗もうとしたんだが、バイルーはビシャっと子供の手だったか、頬だったかをたたいたんだよね。「やってはいけないことはやってはいけない」とか言ったと記憶している。
そんな彼の売り物はただただ誠実さ。しかし、同じUDF大方のメンバーはすでにサルコジ陣営に鞍替えしてるわけ。もしも大統領に選ばれても、首相に誰を任命するのか。あるいは内閣の構成はどうなるのか。議会との関係はどうしきるつもりなのか。問題多すぎ。誠実さだけで政治が収まったら国連はいらない。政治もいらない。
まあ、結局のところセゴレンヌ・ロワイヤルの苦戦の理由には、フランス国民が女性大統領を受け入れられるかどうか、自分たちでもよく分かってないってのがあると思う。
フランスのマッチョ度、ってこれは女性サイドにもよく見られるんだけど、案外根強い。世代の問題でもあるね。40台から上の人間にとっては、まだまだ女性大統領は無理かもしれない。それに、平均寿命がどんどん長くなる結果、若年層の票パワーは弱くなる、ってな単純計算もある。
いずれにしろ、EUのおかげで国内政治の決定枠は狭まってきたし、これからも狭まっていくわけだ。いまさらシラク流大風呂敷を広げても、先は知れてるし、変なナショナリズムを掲げてもル・ペンで痛い目に(2002年大統領戦)あってるから危ない橋はわたれまい。
なにはともあれ、今回の選挙が単なる人気投票に終わらないことを、選挙権のない移民のひとりとしては、願うばかりでありますよ。
猫屋様
これは、ねこやなぎと読むのですか?
それはさておき、どうもです。
今は日本でも東京都知事選でなんだか不可解、滑稽なワイドショー的状況が繰り広げられております。結果によっては、またがっくしという事になるのですが、投票には行きたいと思います。
それもさておき。
猫屋様はシモーヌヴェイユについてはどのような考えをお持ちですか?
日本語でしか読んだ事がない人間としましては原文で読むと幾分感想、あるいは理解など違ってくるのかなと興味があったものですから。もしヴェイユに関して関心がおありではないようでしたら聞き流してください。
それからギャスパーノエの映画、アレックスも面白いのでこれは是非、観てみてください。
それではまた。青柳でした。
投稿情報: 青柳 | 2007-03-12 10:06
猫屋さん猫屋さん、
ラグビー6カ国といっても、アングロサクソンなのはイングランドのみで、その他UK構成国はケルト系ですよー。
・・・と言っておかないと怒る人が多いんです。
投稿情報: ぴこりん | 2007-03-12 20:22
えっとお、ですね。
あのほれ、イングランド・スコットランド(スコッチ)・ウェールズとアイルランドだっけか、、、、確信なし。それにどうしてだかフランスとイタリアが入ってたような、、、どうしてラテンが(仏・伊)が入ってんだかもよく分からないんっす。おまけにフランスでラグビーが盛んなのは南のほう(ピレネーとリヨンの横のブルゴワン)。英国系人民間ははどーせ混ざってんだから、みんな(っつか、ほぼ)ブリティッシュでいいじゃんとか、思ってはいけないですね、はい。汗な突っ込み、サイド・ステップでかわしたつもり、、、がダメか。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-12 22:20
青柳氏、亀レスですいません。
猫屋はブログ開始当初nekoyanagiだったんですが、アルファベットでたたくのが面倒で猫屋に改名いたしたのでございます。
Simone Weil は恥ずかしながら読んだことないんです。Simone Veil (政治家)は猫屋ファンですが。
映画は、世代的に言って米映画に育てられたみたいなもんで、ついついちょっとへそ曲がりな米国映画が気にかかる。あと、フランス映画は来仏前はよく見てたんだけど、このごろすっかりご無沙汰してます。なぜって、あまりに日常すぎて、夢ないとか思っちゃうんですよね。隣人の覗き見してるかんじがする。ミニマリストね。猫屋が映画見るモティベーションは日常逃避なんだろなあ、、と気がついたり。。
いや、アレックスはチェックしときます。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-12 22:31
上のコメントに追加です。
ギャスパー・ノエを仏ウィキで検索してみました。アルゼンチンの人なのですね。
考えたら、かなり前にこちらで、アルゼンチンから政治亡命してきた人にたまたま会って話したことがあります。兄弟が映画を作っている、と言ってた。年齢から言っても監督の兄である可能性はありと思います。パリは狭いです。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-13 00:59
お久しぶりです。
引っ越し関係で忙しくしている間に、大統領選の様相がいつの間にか変わってきてて、いまではもうついていけなくなってきました。こちらでお勉強させて頂きます。。
ところで、、先日、友人にこんなサイトを教えてもらいました。
http://brunocandida.com/
フランス人たちは大笑いしていましたが、私のフランス語力では、いまいちそこまで面白いのかどうか分かりません。。いかがなもんでしょうか?
投稿情報: Jazz_funk | 2007-03-13 03:18
おお Jazz Funk 氏、お久しぶりです。引越しとはまた、大変ですねえ。
ブリューノ・カンディダ; pas m-a-a-l ! なかなかbravetitude (解説;ロワイヤルが使ったんですが、こんな名詞はないらしい)なディスクールです。シラクも得意ですね、アブダカダブラテスク、だったっけ、とか。エルサレムでの“What do you want !”も歴史的パロールとして後世に残ると思われ。
大統領選、いままではシカトしてたんですが、傑作トピックあったら(+時間があった時は)取り上げたいと思います、。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-13 08:26
猫屋様、コメントへの返信有り難うございます。
アレックスはある意味、そのまま過ぎて、日常逃避です。存在の姿、模様、そのまんま。
相互可逆的。両極は不可分に成立している。
理路整然と矛盾する。秩序としてのカオス。
偶然と必然。そのまんまの映画です。
2001年宇宙の旅がSFなら、アレックスは同じ事を日常的に描いている、、、そんな気がしました。
深読み、、妄想、、かもしれませんが。
僕にとってはマトリックスも複雑系と言いますか、なんだか同じ模様を描いている気がしています。いや、これも妄想か、、。すんません。
機会があれば観てみてください。どうも、どうもです。
投稿情報: 青柳 | 2007-03-13 14:30
これも原本読まずの妄想なんですが、西田幾太郎の「絶対矛盾的自己同一」というのをこのごろボンヤリ考えています。あと埴谷雄高の「不条理ゆえに我信ず」も。。われわれには、宗教なしの宗教とでも言うべき何かが足りない。同時に、壊すべき対象がなくなったんだな、それで自己破壊的になったりするのかなとか、そんな気がしています。
まあ、俗人としては(俗人であればなお)サイド・ステップ踏んで踊り続けるほかないわけで、、マクロはミクロ、キレイがキタナイ、キタナイはキレイ。。。とまあ寝不足続きでカナリ非論理シュールな春であります。ではまた、
投稿情報: | 2007-03-13 22:58
↑このコメントはアタクシのです。かなり限界に近いかも、猫脳。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-14 00:57
シラクさんのサルコ攻撃、ひそかに楽しみにしております。(笑)
と、全然関係ない質問ですみませぬが、猫屋さんは、フランスでPCを買われて日本語のlogitielを入れるやり方をされているとお見受けしますが、日本語を使うためのソフトはどうやって探されましたでしょうか。(何をお使いでしょうか?)
今、いろいろ検討中ですが(macは日本語が使えるし、windowsを入れることもできると聞いたけど高いし。。)おそらくpc買って日本語使えるようにするという方法かなと思います。。
あと、officeフランス語版を入れたのが原因かなとも思い。。 でもwindowsフランス版を入れたわけじゃないからこれは違いますよね。。やっぱり不良品なんだわ。。 くすん。
投稿情報: ねむりぐま | 2007-03-17 17:21
くまさん、
うちのはですね。フランス・デルのデスクトップ(つまり余分なソフトは入ってない)に、もう壊れた以前の日本で買ったバイオ・ノートについてたオフィスXPを載せたんですね。本来は別PCのは、ライセンスの都合上使えないはずなんですが、なぜかできた。
時々借りて使うノートはこれもフランスで買ったデルですが、フランス版オフィスが載ってます。でも日本語使えます。日本語でなんて言うんだか分からないけど、コンフィグ設定の地球儀オプションのところで言語設定して、起動ディスクから必要外国語フォントを追加すると複数言語がたたける、ということだったと思います。アラブ語とかヘブライ語とかもたしかあったですよ。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-18 01:55
おぉ! フランス版windowsのフランス版オフィスでも日本語が使えるのですね! 朗報だーー!! ありがとうございます。
そういえば、フランス版オフィスを入れた後、日本語を使えるようにオプションで追加しました。 でもそのときは、自分のPCが日本製だからできるのだと単純に思っていました。
なんか先が見えてきた感じ~☆
投稿情報: ねむりぐま | 2007-03-18 14:56