えー、週末になってやっと時間ができたわけですが、シリーズ“何ですかこの天気は?”の、そして春に冬がやってきた風悪天候と寒さが続いている。今日は雨です。
ほぼ使わないまま戸棚にしまいこんだマフラーやら手袋、コートやらブーツが再登場。今夜は(睡眠時間が一時間減る、あのツライ)夏時間に移行するんだけど、こんなに寒いのにそんなん詐欺じゃ、と言ってもいたしかたない。春だ、散歩だ、ルンルンルン、と突然躁状態になるパリ人たちも、なにやら手持ち無沙汰というか中途半端な風情です。
さて、仏大統領第一次選挙も29日後にせまってきまして、サルコ&ロワイヤルおよびバイルーみつどもえ選挙戦はますます泥沼化しております。
結局候補者数も12人という、かなりな人数でして、だいたい極左がトロツキスト系(ラギーエとブサンスノ)に加えてオルターグロバリ(ジョゼ・ボベ)計3人。仏共産党(ビュッフェ)、エコロジーからひとり(ボワネ)。極右系がル・ペンにド・ヴィリエと、あとは“狩とつりと自然と伝統”という、まあ右の党からの立候補。それから名は知られてないですが、地方の村長さんまで立候補してますね。→候補者リスト。
まあ、選挙戦チキンレース化はフランスばかりではない。米国での予備選挙をめぐっての駆け引きも、日本東京都知事選もですが、ドッチモドッチ、目くそ鼻くそとでもいいますか、はたから見るとかなり格好の悪い様相を見せておりますから、これもグローバリ化した、あるいは“バーチャル化”したシュミラークル世界の政治選挙自体が、リアリティ・ショーしてるんだと理解するほかない。まあ、祭りですか。
元来、政治はマツリものでありますから、祭り=非日常なわけで、なんでもありというのが旧世界のお約束でした。戦争なんかも、このラインで読むと、まあ非採算的消費活動ポトラッチだったと言えないこともない。
ですが、たとえばスポーツ関係もそうなんだけど、今じゃ毎日世界のどこかで“スポーツ大イベント”がひっきりなしに繰り広げられておりますね(今日は東京のフィギア・スケートをTVでやってた)。
次々起こるイベントの全部を追いきれるもんじゃない、ですねえ。かといって、オラは山で羊を追うだよ、、などと勝手に情報消費生活からリタイアできないってのが、なんとも現在性なんだろうね。
フーコーが組み替えてみせた権力の歴史と、(ボードリヤールがアウトラインを線描きし、)ドゥルーズが戦った消費社会と、ネグリが分析した国境/ボーダーのない帝国。この世界で、消費されているのは実は主体=個人であって、権力とは、キューブリックの予言したように、マシン(あるいは組織/システム)自体なんだなあ、とか思うわけでありました。
追記:Hikirinokogiri 氏のご指摘のとおり、村の村長さん大統領候補も極左の人。よって今回の大統領選での極左組みは4人で+エコロ+共産党。社会党に、限りなく左に近い保守のバイルーに、かっちり右の(時として極右にスリスリの)サルコジ。あとは右右の“猟とつりと自然と伝統”それから王党派と極右、という構造になっておるわけだ。今回の選挙が、極左が結局のところ社会党とともに自滅する契機になるかも知れんですよ。バイルーがなあ、、やれやれ。
[地方の村長さんまで立候補してますね。]
L'Association des Maires de France a officiellement protesté contre la prétention de ce candidat à être mandaté par les Maires, et le menace d'un recours en justice s'il persiste! Comme il se réclame du Parti des Travailleurs, vous pouvez le rajouter à la déjà longue liste des candidats trotskystes!
投稿情報: hikirinokogiri | 2007-03-25 11:07
hikirinokogiri 氏、
そうなんですよね。あの村長さん、メディアには登場してないけど、やはり極左ですねえ。欧州憲法批准国民投票での批准反対派が(極右といっしょに)過半数とっちゃった。あの時点での右・左のあいまいさが、そのまま尾を引いていて、今回の選挙が、フランス左翼運動の終焉(最後)になっちゃうんじゃないかと心配しています。
バイルーには、あまり期待してないし、今の社会党がソシアル・デモクラット政策でやってみてもいいのに、と思うんですが。難しいですね。。
投稿情報: 猫屋 | 2007-03-25 16:41