先週に続きル・モンド木曜書籍別紙からのクリップ。以下はアンリ・タンクが書いてる批評です。《イスラムのインテリジェンス》
HISTOIRE DE L'ISLAM ET DES MUSULMANS EN FRANCE DU MOYEN-AGE À NOS JOURS. 監修 Mohammed Arkoun. 序文Jacques Le Goff, Albin Michel, 1 220 p., 49 €.
タイトルは、中世から現在までのフランスにおけるイスラム教とムスリム。ソルボンヌ大学名誉教授モハメッド・アルコアンのもとに、なんと68人もの歴史学者・研究者によって執筆編纂されたこの本は1200ページを越えるんですね。ル・モンド批評冒頭にアンリ・タンクも書いているけれど、今大きな問題となっているイスラムに関する疑問を現実と言う枠中で把握したかったら、この本が la boîte à outils、つまり道具箱として役立つのだろうし、それがこの本の意図するところでもあるだろう。
古くは西暦732年の、イベリア半島から攻めよるイスラム勢とのポワティエの戦いに始まり、十字軍、中世における文化交流、そしてオリエンタリズム、ボナパルトのエジプト遠征、植民地時代から移民に至るまでの、イスラム世界とフランスのつながりをロング・タームで鳥瞰しようという、かなりカナリな企画です。
“他者”とは一体誰のことなのか、鏡の両側にある西洋とオリエントは、実はシャム双生児のように、切っても切れない関係にあるわけですが、しかし1220ページ、49ユーロ。イラスト・写真も多いらしいこの本、イスラムが専門ではまったくない猫屋ですが、Meddeb の Contre-Prêches(反-教義のクロニクル)と一緒にクリスマス・プレゼントに欲しい。まずは本屋で実物を見てみよう。
今更ながら、“歴史”とは単なる事実のつながりではなく、現在という時点から振り返る過去であり、同時に変化し続ける共同記憶なんだと思う今日この頃であります。
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