大衆夕刊紙『フランス・ソワール』、そして左派新聞『リベラシオン』に続いて、1804年にドレイフュス事件にも関与したマルクス社会主義政治家ジョン・ジョレスによって創刊された日刊紙Humanité /ユマニテも重大な経営危機に陥っています。ユマニテとは『人類・人間』のこと。長い間仏共産党員の草の根的販売力でささえられてきたこの新聞も、他の新聞のように企業などの大型資本バックアップなしでは存続できなくなった。
いつかfenestrae氏が訳したジジェクへのインタヴューが掲載されていたのがこのユマニテ。街場では『ユマ』と呼ばれている。最近の編集部には若い人材も多く、かつての教条的マルクス思考とは違った面白い記事が多かっただけに、この『国家遺産』的新聞の行く末には読者でない私でさえも大いに気がもめる。
ル・モンドの記事によると、190人からの雇用者を抱えるユマニテ紙の赤字は、2004年の2.7百万ユーロから2005年には3百万ユーロになった。発行数は2005年には51639部数と(前年比+5.7㌫)増えてはいるんだが、それは増収にはつながっていないようです。またエンタテイメント思考のHDと呼ばれる週末版(8万部)も、編集部の言ではキオスクでいい場所に置いてもらえないなどの理由で部数が伸びない。
記事の最後でCNRS(国立研究院)の社会学者ジャン-マリー・シャロンは 『今、私達はメディア全体が問題となる変動期に入った。これはラジオ・テレビが出現した1930年代に相当する分岐点だ。』 とアナライズしています。
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