松岡セイゴー氏の千夜千冊最新版長編では、フェルメールとフランドル派と光がセイゴーまな板にのっています。このところセイゴー氏と猫屋の間にはまま(勝手な見方ですが)シンクロニシティが発生していて、(思いの内容は異なるけど)、不思議。たぶん、同様な想像世界マッピングをしてる人は多いんだろう。混沌/現実世界/冬→記憶/歴史→闇/中世/ボッシュ→光/フェルメールとか。(でもなんでスピノザまで行かないのだろう、、。)
冒頭に挙げられている美学校は、ことに寄ったら放学されて困っていた当時の少年猫屋が行こうと一瞬思ったあの学校のような気がする。70年代前後には、ヘンな学校が案外あった。今は昔。しかしあそこに行ってたら今はどうなっていたことやら。
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昨日はグラン・パレのウィーン展に行ってきた。冬の小雨の中一時間半近く並ぶ。どうも急に美術館に人が戻ってきたようだ。これもシンクロニシティだな。でもシンクロが講じて会場内は凄い混雑。上野の特別展みたい。
エゴン・シーレは18歳のころ入れあげた。18歳の自分に見せたらメチャ喜ぶであろうに、などとアホなこと考えながらほぼ素通り。この人の絵は見てるとこっちが痛くなってしまうのだ。風景画でさえ“身体”が苦痛で捻じ曲がっている。例外が妻を描いた Edithの肖像。いい絵です。シーレは1918年にスペイン風邪で死んでいる。妻はその3日前に死亡。、シーレ28歳。
ウィーンには今までにも行けなかったし、この後もいけるかどうか分からないのでとにかくクリムトの絵は本物を見ておくべき、と思ったのだ。それでクリムト(1862-1918)。
このところ頭の中の絵画部門はヴァン・アイクとかボッシュとかの占める割合が大きかったから突然の20世紀初頭に戸惑う。マティエールと人物の境界がだんだん曖昧になってくる。曖昧な霞の向こうから“まなざし”が見るものを見ている。物としての身体。金属。細部。単に人物画だけだったらクリムトもミュシャのようなアール・ヌーボーのデザイン画家で終わったのかもしれない。当時の、やってくる不幸への予感と結果するウィーンの退廃とが今回の展覧会の、クリムト・シーレ・ココシュカ・モザーたちの“狂気”の絵画を生み出したのだろう。
ウィーンの彼のアトリエには半裸の若いモデル達がいつもいて、クリムトは彼女達の動いたり眠ったりする姿をデッサンした、とどこかで読んだ。
ココシュカの絵を見るのは始めて。クリムトの風景画も。ココシュカの暴力。クリムトの、これもマティエールとしての風景。
わたしにはまだ、絵画を語る力がない。それで今日はこのままフェードアウトなり。
ちっとも芸術的な話ではないですが、クリムトの話、昨日のF2のニュース(昼か夜か忘れた)でやってましたね。5点、元の所有者(ナチに資産没収されたユダヤ人)にもどったというの。
http://cultureetloisirs.france2.fr/artetexpositions/actu/17356968-fr.php
投稿情報: fenestrae | 2006-01-19 00:59
これは読売で読みました。http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20060117it14.htm
でも凄い金額(時価1億5000万ドル以上)ですよね。弁護史料はいくらかかったのかとか、下種なこと考えてしまったですよ。しかし、変なトコに金が余ってて日本じゃフリーターの時給が850円。ため息でちゃいます。たしか33歳のホリエモンは、正月休みは自家用ジェットで女優つれてヴァカンスだよ、もー。
投稿情報: 猫屋 | 2006-01-19 02:51
芸術から芸術的でない話しついでに、猫屋さんのため息のホリエモンクンがこけちゃいました。
やっぱ、もっともっと大きな影の力が潰しにかかったのでしょう、経団連の奥田会長がライブドアの経団連加盟を『全員一致で、承認しちゃった訳で』と照れ笑いしながら会見しておりました。
しかしこの辺りがひょっとしたら。ホリエモンツブシの、震源地ではないかと?
以前今は亡き大昭和製紙の斉藤英四郎が55億出してゴッホの『ひまわり』買ったことがありました。
もちろん、今は彼の一族の手元にはない訳ですが、彼の一族の品のなさは相変わらずで、息子は相続税逃れの脱税で先日、実刑判決を受けました「ひまわりさん斉藤一族から、逃れてよかったね」です。
クリムトがもとの所有者に戻ろうがもどらまいが、ナチスからからユダヤ人に戻ったからと言って,果たしてそのユダヤ人が芸術を管理するのにふさわしい,品性の持ち主であるとは限らない訳で,そもそも芸術を所有欲だけで死蔵するかもしれない輩かもしれない。
僕も仕事柄日本の『鍋島』の売買の裏側につき合わせていただいたことがあります。
かくも人間は所有することに情熱を注げるのか、その力(欲)にただただ圧倒されたことがありました
持たざるものこそ最高の品性の持ち主と貧乏人の遠吠えを決め込んでおります。
自家用ジェツトも美人モデルも欲しかーないよ,でももう少し現金が欲しい。
投稿情報: クノちゃん | 2006-01-19 03:41
するっていと、きっこブログのインサイダーも“もっともっと大きな影の力”の回し者なんですかい?これも困ったなあ。で、得をしてるのは誰なわけ?農協ではないよね、昔風にどっかのご隠居、でなかったら外資?
投稿情報: 猫屋 | 2006-01-19 04:04